Finding Serendipityが目指す世界
私が所属する株式会社LIFULL 未来デザイン推進室リサーチ&デザイングループでは「誰もがより自分らしく暮らせる世界(=Well-beingな世界)の実現」に向けて、ありえるかもしれない未来を想像・思索し、その未来をプロトタイプとして体験できる形で世の中に提案するというミッションを掲げています。
私たちは、これまでにデジタルツイン上の世界を飛び回って部屋を探す「空飛ぶホームズくん BETA」や同じ価値観グループの人がどの街でWell-beingに生活しているかを探せる「VALUES MAP」などを発表・公開してきました。
「FindingSerendipity」のベータ版への参加はこちらから
今回は上記のようなARグラスが普及した時代の新しい「住まい探し」体験として、“Finding Serendipity by LIFULL HOME’S”を発表・公開し、2022年12月現在Testflightのパブリックリンクを公開、テスターを募集中です。
日常的な利用からスムーズに「住まい探し」へと繋ぐ
住み替えは大学の在籍期間や更新タイミングとなる2年や4年が多くを占めています。そのため、不動産情報を提供するLIFULL HOME’Sとユーザーとの接触機会も同様に非常に長い間が空いてしまうことが1つの課題でした。
そこで私たちは日常的に使うと移動や街の散策が捗る、楽しくなる体験を設計し、LIFULL HOME’Sとの繋がりを保ち、いざ不動産情報が必要となったときにそのまま移行できるような、引っ越し潜在層へアプローチできる体験へと企画を起こし込んでいきました。
街での出来事や感情を記録し、その場に「アンカー」として残す
「Finding Serendipity」では、街歩きの途中であった出来事を画像や動画、またそのときに感じた感情をスタンプや音楽をその場所に「アンカー」として、位置情報・撮影角度と共に記録することができます。
例えば、一目惚れした店頭ディスプレイや綺麗な夕日、美味しかったケーキなどの写真や映像を記録し、今の気持ちに合う音楽と一緒にその場所に残すことができます。
ARペンを使った場所に合わせたアートの設置
「Finding Serendipity」では、街中にあるWayspotを認識すると空間に対して3次元でドローイングを行うことができます。これを保存すると、同じ場所に訪れた他のユーザーも数センチの精度で再現されたドローイングを見ることができます。
この機能をストリートアーティストなどに提供することで、現実にはないデジタルアートが街の至るところに溢れるプラットフォームになるかもしれません。
蓄積された記録が街の魅力になっていく
「Finding Serendipity」では、他のユーザーが残したアンカーが蓄積され、現実の風景に重なって表示されることで、一人では知ることのできなかった街の出来事に時間を超えて出会うことが可能。その場で他のユーザーがどのような感情だったかを知ることができます。
例えば、ある街角に他のユーザーがたくさんの“ワクワク”の感情を残していたら、そこにまだ知らない街の魅力が埋まっているのかもしれません。そんな自分一人では発見することができなかった街の魅力に“偶然”出会えるようなプラットフォームを私たちは目指します。
不動産情報はユーザーに寄り添ったタイミングで表示
日常的に見ている世界に膨大な不動産の情報がARとして表示され続けていたとしたら、ユーザーにとって興味のないものが頻繁に出現する可能性があるため、ユーザーの満足度を下げてしまい、プラットフォームからの離脱を招いてしまいます。
そこで私たちは、「Finding Serendipity」で物件情報を表示するタイミングを「ユーザーが街を好きになり、この街に暮らしたいと思って能動的に情報を取りに行くタイミング」「ユーザー自身の趣味嗜好と合致した希少性の高い設備をもつ物件の近くに来たとき」の2つに絞りました。
間取り図同士で大きさを比較できる
また、「Finding Serendipity」では物件の情報の表示に関して、ARならでは機能を盛り込んでいます。それは、当社の特許技術であるD間取り」を活用し、間取り図から3Dモデルに変換する機能で、個人的に画期的だと思っている部分です。
この機能により、ユーザーはモデル同士を並べて今まで直感的に大きさを比較できなかった物件同士を比較し、「物件が理想に近い広さかどうか」といった住みやすさなどを内見前にAR上で検討することが可能になりました。