ジネディーヌ・ジダン(フランス代表)1998年フランスW杯
まさに「英雄」だった。元フランス代表MFジネディーヌ・ジダンは、背番号10の司令塔として地元開催のW杯に出場。期待を一身に背負った中で、グループリーグ第2戦のサウジアラビア戦で相手を踏みつけて一発退場(2試合の出場停止処分)となる。
だが戦列復帰後は、持ち前の正確無比なボールコントロールと強靭なフィジカル、多彩なアイディアで攻撃を牽引したジダン。迎えたブラジルとの決勝戦では、前半27分にDFエマニュエル・プティのコーナーキックに対してニアサイドに走り込み、強烈なヘディングシュートを叩き込んで先制点。さらに前半終了間際には、逆サイドからのMFユーリ・ジョルカエフのコーナーキックに再び頭で合わせて追加点を挙げた。
会場のスタッド・ド・フランスが、「ナンバー10!ジネディーヌ・ジダン!」のアナウンスとともに大歓声に包まれた。フランスは悲願のW杯初優勝。シャンゼリゼ通りはトリコロールで埋め尽くされ、凱旋門には英雄ジダンの顔が映し出された。移民の子であるジダンの活躍と存在は、その後のフランス代表、さらにフランス政治においても大きな意味を持つことになった。
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ジェフ・ハースト(イングランド代表)1966年イングランドW杯
カタールW杯でムバッペがW杯決勝史上2人目のハットトリックを決めたが、1人目の男がこのサッカーの母国イングランドのストライカー、FWジェフ・ハーストだった。A代表デビューから数ヶ月後に開かれた地元W杯に出場。当初は控えだったが、エースFWの負傷によって大会途中からスタメン出場のチャンスを得た。
そして「聖地」ウェンブリーで行われた西ドイツとの決勝戦で3得点。素早いリスタートでのロングボールを頭で合わせて1点目を決めると、2対2の同点で迎えた延長前半11分に、右サイドからのクロスをゴール前でトラップして反転シュート。これがクロスバーに当たって真下に落ちるも得点が認められる“疑惑のゴール”で2点目。さらに試合終了間際に、前がかりとなった相手DFラインの裏でボールを受け、ドリブルからの左足シュートで3点目を決めて拍手喝采を浴びた。
このハーストの決勝ハットトリックは、カタールW杯ではムバッペの3得点よりも前に、日本代表の「三笘1ミリ(ドイツ戦で日本が逆転ゴールをあげた際、三笘薫によるアシストが1ミリ差でボールアウトとならず)」の際に引き合いに出されている。ドイツ国内では「疑惑のゴール」とされ「またもドイツが見放された」と嘆いた。
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