年収比の貯蓄額で全国1位の奈良県は、金融リテラシーのランキングでも全国1位だった。ここでは金融リテラシーと貯蓄の関係について解説する。また、どういう知識を知っておくべきか、という点についても紹介しよう。

金融リテラシーが高い都道府県は?

金融広報中央委員会が18~79 歳の3万人を対象に実施したアンケート調査「金融リテラシー調査(2022 年)」では金融リテラシーにかんする問題を出題し、回答者の属性とともにその正答率等を整理して分析している。

それによると、年齢層が高いほど、また金融・経済情報を見る頻度が高いほど正答率も高くなる傾向があることが分かった。また、望ましい金融行動をとる人の割合も金融教育を受けた人の方が高いという。

正答率が高い人には金融トラブル経験者の割合が低い傾向が見られたが、「金融教育を受けた」と申告した人のうち、正答率が低い層では金融トラブル経験者の割合が高いことが分かった。つまり、正確さに欠ける“金融教育”を受けた人がそれなりにいて、それが原因でかえって金融トラブルに巻き込まれているということだろう。

おそらくこれは、特定の金融商品の購入を促すために、偏った内容の金融知識が流布されているということではないだろうか。

また、職業・年齢別にみると、「金融教育を受けた」と申告した若年社会人・一般社会人では、実際の金融リテラシーの高さよりも自己評価のほうが高すぎる傾向が見られ、やはり金融トラブル経験者の割合がほかの層よりも高くなっていた。

金融リテラシーの都道府県別ランキング

同調査では都道府県別の金融リテラシーランキングも掲載されている。ここでは1位から10位までを紹介しよう。なお、ワーストは沖縄県となっている。

1位 奈良県
島根県
3位 香川県
4位 千葉県
5位 愛媛県
長野県
7位 栃木県
8位 茨城県
9位 東京都
10位 滋賀県
兵庫県
神奈川県

奈良県というのは意外な感じもするが、大阪中心部への通勤圏であり家賃も比較的安く、豊かな自然と世界遺産に囲まれていることを考えると、金融リテラシーが高い人が自然に集まってくる土地柄ということかもしれない。

同点1位となった島根県についても理由は不明だが、「まじめ」「積極性がない」とされる県民性が金融リテラシーの高さに一役かっているとも考えられる。

なお、正答率の低い都道府県では、実際の金融リテラシーの高さよりも自己評価のほうが高すぎる傾向が見られ、緊急時に備えて資金を確保している人の割合も低い傾向があった。

金融リテラシー1位は貯蓄上手だった

2021年の総務省「家計調査」によると、2人以上世帯の年収は平均633万円、貯蓄額は平均1,880万円となっている。貯蓄のうち平均で31.1%は通貨性預貯金、つまり現金としていつでも引き出せる貯金の形だ。

次に貯蓄額の都道府県別ランキングを見てみよう。

貯蓄額の都道府県別ランキング

同調査によると、貯蓄額が最も多い都道府県庁所在地は「東京都区部(東京都)」2,621万円。以下、2位「奈良市(奈良県)」2,538万円、3位「名古屋市(愛知県)」2,487万円と続いている。

大企業が集中する東京は高額所得者も多いため1位は納得のいく順位といえる。しかし、年収の何倍の貯蓄があるかを計算すると奈良市が1位となる。つまり、年収と比較して一番多く貯蓄しているということだ。この結果は、金融リテラシー調査で奈良県が1位になったことと無関係ではないだろう。

まず身に付けるべき金融リテラシーは?

では、望ましい金融行動をとり貯蓄を増やしていくにはどんな金融リテラシーを身に付ければいいのだろうか?

金融リテラシー調査を行った金融広報中央委員会では、調査での問題の元になった「金融リテラシー・マップ」というものを紹介している。これは、「生活スキルとして最低限身に付けるべき金融リテラシー」の内容を具体化して年齢層別に対応させたものだ。

金融リテラシーを身に付ける際には、真偽不明の儲け話交じりの情報ではなく、この「金融リテラシー・マップ」のような確かな内容の情報からまず学ぶべきだろう。

文・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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