2022年に入り、介護事業者の倒産が急増している。介護倒産が増え続ければ、介護を必要とする人が適切な介護サービス・施設を利用できなくなるかもしれない。少子高齢化が進む中、親を「介護難民」にしないためにはどうすればいいのだろうか。

今回は、介護倒産が急増している理由や介護難民にならないための対策を紹介する。

介護事業者の倒産が過去最多を記録

東京商工リサーチによれば、2022年1~9月の「老人福祉・介護事業」倒産は100件だ。前年同期比で約2倍に急増しており、介護保険法が施行された2000年以降で過去最多となった。

介護倒産は、新型コロナ感染の影響で2020年に過去最多を記録した。2021年は「介護報酬のプラス改定」や「ゼロ・ゼロ融資」などの支援により急減していたが、2022年は一転し、過去最多ペースとなっている。

ヘルパー不足のみならず従業員の高齢化などの問題も

少子高齢化が進み、介護ニーズが増加しているにもかかわらず、なぜ介護倒産が急増しているのだろうか。

介護事業は、以前から「ヘルパー不足」「従業員の高齢化」「他業種からの新規参入」などの課題を抱えていた。そこに新型コロナによる利用控え、業務負担の増加が加わった形だ。

2021年は、新型コロナ関連の支援策で何とか持ち直した。しかし、2022年は物価上昇により運営コストが増加し、経営環境はますます厳しくなっている。大手の連鎖倒産も発生しており、今後さらに介護倒産が増加する可能性もあるだろう。

そもそも介護難民とは?

介護難民とは、介護を必要としているにもかかわらず、家庭や施設などで適切な介護サービスを受けられない人を意味し、大きな社会問題となっている。

厚生労働省の資料によれば、2021年3月末現在の要介護(要支援)認定者数は682万人(前年比13万人、2.0%増)だ。認定者数は一貫して増加しており、2001年度から2020年度までの20年間で2倍以上増えている。今後もしばらくは、増加傾向が続くだろう。

介護が必要な人は増加している一方で、先述したように、介護事業者の倒産は過去最多ペースを記録しているのが現状だ。介護倒産がさらに増加すると、介護難民の問題が深刻化する恐れもある。

親を「介護難民」にしないための対策

近い将来、親を介護難民にしないために何ができるのだろうか。考えられる対策は以下の3つだ。

● 介護資金をためておく
● サポート先を調べて早めに相談する
● 親と良好な関係を築く

親の介護にかかるお金は、親の財産でまかなうのが基本だ。しかし、親に経済的な余裕がなければ、無理のない範囲で援助や立て替えが必要な場面も出てくるだろう。

介護資金がなければ、利用できる介護サービスや介護施設が限られてしまう。ある程度まとまったお金が準備できれば、介護サービスの選択肢が広がるため、介護難民の確率を下げられる。

介護の必要性を感じたら、サポート先を調べて早めに相談することも重要なポイントだ。例えば、「地域包括支援センター」は各市区町村に設置されており、専門家が介護に関する総合的な相談、支援、援助に対応している。今すぐ介護が必要な状態でなくても、悩みや不安があれば気軽に相談してみよう。

親とコミュニケーションを取り、良好な関係を築くことも大切だ。親の体調の変化を把握できるため、早めに行動すればスムーズに介護サービスを利用できるだろう。難しいかもしれないが、親が元気なうちに財産状況や介護に対する希望を聞けるのが理想だ。

早めの専門機関への相談を

介護倒産の増加により、介護難民となるリスクが高まっている。しかし、経験や知識がない子どもが親の介護をするのは難しく、介護離職につながる恐れもある。親を介護難民にしないためにも、無理のない範囲でお金をため、早めに「地域包括支援センター」に相談しよう。

文・MONEY TIMES編集部

【関連記事】
サラリーマンができる9つの節税対策 医療費控除、住宅ローン控除、扶養控除……
退職金の相場は?会社員は平均いくらもらえるのか
後悔必至...株価「爆上げ」銘柄3選コロナが追い風で15倍に...!?
【初心者向け】ネット証券おすすめランキング|手数料やツールを徹底比較
1万円以下で買える!米国株(アメリカ株)おすすめの高配当利回りランキングTOP10!