様々な面でデジタル化が進んでいる中で、銀行でもデジタル通帳が主流になりつつある。それに伴って、紙通帳を発行しようと思うと手数料が取られるようになった。紙通帳の有料化だ。ここでは、紙通帳の有料化事例について紹介すると共に、今後の紙通帳の未来について解説する。

主な銀行における紙通帳の有料化事例

主な銀行で2021年ごろから紙通帳の有料化が始まっている。メガバンクである三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の3つの銀行はその先駆けと言えるだろう。そこで、これら3つの銀行の有料化事例を紹介していく。

・三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行では、2022年4月以降に口座開設し、紙の通帳を発行した場合は年間で550円の手数料がかかるようになっている。紙の通帳を持っているだけで毎年550円がかかるため、長い目で見ると手数料の負担も大きくなるのが特徴だ。しかし、18歳未満の場合と70歳以上の場合は手数料が不要となっている。子どものために親が通帳を作る場合や70歳以上の高齢者でデジタル通帳の扱いが困難な場合を考えた措置と考えられる。

・三井住友銀行
三井住友銀行は、2021年4月以降に口座開設し、毎年1月末時点で紙の通帳を利用している、もしくは紙出入票を発行している場合に手数料が発生する。手数料は三菱UFJ銀行と同様に年間550円だ。三井住友銀行も手数料免除の場合がある。口座名義人が18歳未満である場合や70歳以上の場合、口座名義人が日本に住んでいない場合、Web通帳が形式上申し込めない契約の口座である場合だ。

・みずほ銀行
最後にみずほ銀行では、2021年1月18日以降に口座開設や通帳の再発行をした場合に手数料が発生する。手数料は口座1つにつき1,100円だ。年間の手数料でない点が特徴で、基本的に紛失などをしない限りは1,100円で済むのが前述の2社との違いと言える。また、切り替え時や紙の通帳発行時に70歳以上の場合は手数料が免除となる。

紙通帳には意外なメリットも

紙通帳にもメリットがあった。例えば、通帳記入した状態で保管しておけば半永久的に確認することができる点だ。通帳にメモをしておき、いつに何の入出金があったかが分かるようにしている人も多かったのではないだろうか?しかし、紙通帳が有料化になってきたのは、銀行側のデメリットが大きいからだ。紙の通帳は印刷費や管理費がかかるだけでなく、200円の印紙税が必要なため、その分のコストがかかってしまう。また、利用者側もATMに行って通帳記帳をしなければ口座の引き落としや入金があったかわからず、通帳の紛失や盗難といった問題があったのはデメリットだった。

デジタル通帳は過去の明細が見れなくなることも

デジタル通帳のメリットは、銀行側としてはコストの削減だ。印刷費や管理費、印紙税などのコストがかからない。また、利用者側もATMに行かなくてもスマホ1つあれば、いつでも口座の確認や振り込みができ、通帳の紛失や盗難の心配もないことはメリットだ。デジタル通帳のデメリットとしては、インターネット障害やシステムメンテナンスがあるとその期間は口座のやり取りが制限されてしまうことが挙げられる。ネットバンキングのセキュリティについても、まだまだ規制が追いついていないこともあり、不正利用や不正出金などのリスクがあるため注意が必要だ。また、デジタル通帳は照会期間が決められているため、その期間を過ぎると取引明細がわからなくなってしまうこともデメリットといえる。

今後の紙通帳の未来

“紙の通帳”はなくなってしまうのか?この疑問について、将来的にはなくなるのではないかと予想される。紙の通帳を知らない世代が中心になっていくからだ。実際、三井住友銀行の公式サイトを確認すると、2022年7月時点で約600万人がデジタル通帳を利用しているようだ。また、デジタル通帳の利用が進むことで地方銀行の衰退も予想される。これまでは紙通帳だったため銀行に行く必要があり、地方に銀行があることは必要不可欠だった。しかし、デジタル通帳であれば銀行に行く必要が無くなる。ローンや振り込み、取引明細の確認もデジタル通帳ですべてできてしまうからだ。その結果、メガバンクを中心とした銀行だけが生き残り、地方銀行は衰退していくだろう。紙の通帳がデジタル通帳に変わる、ということだけでなく、社会が大きく変わるかもしれない。

文・MONEY TIMES編集部

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