スクリーニング調査の事例

スクリーニング調査の具体的な事例を解説します。ここでは、本番アンケート調査で「30代のプログラマーで年収400万円以下の会社員の転職理由」を調査する目的で、スクリーニング調査を行うものとします。

また、アンケート対象範囲は、IT系企業に勤めている会社員に絞って行います。

1.あなたの年齢を教えてください。

・20代
・30代
・40代
・50代
・60代以上
・未回答

2.あなたの業務内容で当てはまる物を選んでください。(複数回答可)

・プログラマー
・システムエンジニア
・ヘルプサポート
・インフラ基盤設計
・運用保守
・その他

3.あなたの現在の年収はどのくらいですか。

・199万円以下
・200~300万円
・300~400万円
・400~500万円
・500万円以上

4.年収を上げるために考えていることはありますか。(複数回答可)

・上流工程の担当業務につく
・資格取得によるスキルアップ
・副業を行う
・転職によるキャリアアップ

上記の事例は、本番アンケートの対象者を見つけることを意識した質問のみ行っています。

また、転職については直接聞いてしまうと、本番アンケートを推測される可能性があるため、収入を上げる方法を考えているかといった形で、遠回しな質問を行いました。このように本番アンケートの対象を絞り込む情報だけを集めるように、スクリーニング調査は行いましょう。

スクリーニング調査でその他意識するべきポイント

スクリーニング調査で、その他に意識するポイントを3つ紹介します。

● アンケートの協力者を大切にする
● 時代に合わせたインターネット調査を行う
● 回答負荷を意識してアンケートを作る

順番に解説します。

アンケートの協力者を大切にする

アンケート調査は、アンケートの協力者がいて成立するため、協力者を大切にすることが重要です。スクリーニング調査とはいえ、個人のプライバシーに十分配慮して、アンケート協力者との信頼関係を構築していくように意識しましょう。

例えば、性別を確認したい質問であっても、回答したくない人のことを考えて「回答しない」といった選択肢を用意するなど、協力者への配慮が必要です。

アンケート協力者は、それぞれの生活の中から時間を取って協力してくれているため、感謝すると共に、協力者の意思を尊重しましょう。

時代に合わせたインターネット調査を行う

インターネット調査を実施する場合は、回答可能なデバイスを意識して、時代に合わせた方法でアンケートを行う必要があります。

総務省の「情報通信白書令和3年版のICTサービスの利用動向」によると、世帯における情報通信機器の保有状況は、スマートフォン86.8%、パソコン70.1%となります。

上述のデータを見ると、すでに多くの人がスマートフォンでインターネットを利用していますが、長年親しんでいるパソコンも引き続き利用されていると分かるでしょう。

この傾向は年々変化するため、時代に合わせて回答者が利用しやすいデバイス環境に向けて、アンケート調査を実施することが重要です。

回答負荷を意識してアンケートを作る

スクリーニング調査は、本番アンケート前に行う事前調査です。目的はあくまでも、本番アンケートの対象者を正しくふるい分けることであるため、スクリーニング調査の段階で、アンケート協力者を疲弊させないように心がけましょう。

事前調査であるため、協力者への謝礼も低めに設定すると思います。その中で、多くの質問を投げかけたり、作業コストがかかる自由記述のような質問を多用したりすると、回答者の負荷が高まり離脱につながります。

回答にかかる負荷を意識して、不用意に質問数が増えすぎないように留意しましょう。