空前の円安進行により、保有する金融資産の配分を日本円以外に振り分けようとする動きが出ている。円が安くなれば外国産の物品は高くなり、相対的に購買力が下がるということを意味する。

はたして、日本円をこのまま持ち続けていいのだろうか?いま必要な資産対策について解説する。

日本円は32年ぶりの円安水準に

ドル円相場は2022年10月20日に1ドル150円台まで下がり、1990年8月以来32年ぶりの円安水準になった。年初は115円前後だったので、円の価値が25%ほど下落したことになる。

仮に1,000万円の金融資産があったとすると、ドルを通貨として使っている国から見た価値は750万円程度に低下してしまったことになる。何をしたわけでもないのに、250万円相当の資産が消えてしまったのと同じだ。

むしろ、「何もしなかった」からこそ資産が目減りしてしまったと言えるかもしれない。結果論にはなるが、年初に全ての資産をドルに換えていれば、10月段階で資産は最大30%増えていたことになる。

実際、円安の流れが根強いと感じ、資産の多くを外貨預金に変更する動きも出ている。ただ、気を付けたいのは、株式市場と同じく為替も「普段は見向きもしない人にまで危機感が広がった頃にはトレンドが転換する」といわれることだ。

既に円高の流れに入った?

実際、2022年秋には「これから円高に振れるぞ」という内容の記事やYouTube動画が増えてきた。為替は10月をピークに円高方向に動き始め、12月に入ってからは130円台後半で推移している。

夏ごろに慌てて外貨預金した人は、価値の下がった円からドルに乗り換えたことで、結果的にダブルパンチを食らっている。

ここから学べるのは、為替の動きは米国を中心とした主要国の政策変更に大きく影響されるため、一個人には先行きが読みにくいということだろう。ただ、だからといって何もしないことが是とされるわけではない。

適度な分散投資でリスク回避をしよう

現状、コロナ禍からの経済回復度合いは世界各国で違っている。そして、この先も感染の再拡大や景気後退、成長のペースやタイミングが世界各地で異なるだろう。

グローバルな経済情勢が目まぐるしく変わる可能性がある以上、「今後はこうなる」と決めつけるのはリスクが高い。投資の大原則「タマゴは1つのカゴに盛るな」の通り、幅広い資産に分散投資することが望ましいかもしれない。

今回のテーマで言えば、ドル建て資産と円建て資産を半々で持っておくなどが該当する。また、預金だけでなく株式や債券など複数の商品に分けることで、いつ何が起こってもリスクに備えることができる。

ただでさえ円預金の利率がほぼゼロの中、長い目で見た資産運用のスタート段階として、この不確実な時代を逆手にとって、分散投資について学ぶ機会とするのも良いかもしれない。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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