2022年12月1日から国税の納付がスマホ(バーコード)決済できるようになった。ここでは、この新しい納付方法の概要とメリットを紹介しよう。特にポイント獲得について、よりお得な納付方法を検討してみたい。

スマホ納税の概要

所得税や贈与税などの国税がスマホ決済アプリを使って納付できるようになった。納付するには事前にアプリの残高にチャージしておく必要があり、一度に納付できる上限は30万円となる。領収書の発行はなく、決済手数料は発生しない。

利用可能なスマホ決済アプリは、「PayPay」「d払い」「auPAY」「LINEPay」「メルペイ」「Amazon Pay」の6つ。「e-Taxの受信通知」「確定申告書等作成コーナーで出力される二次元コード」「国税庁ホームページ」のいずれかから「国税スマートフォン決済専用サイト」へアクセスし、利用する決済アプリを選択して納付手続きを行う。

この新たな納税方法の開始により「国税スマートフォン決済専用サイト」を模した偽サイトによるフィッシング詐欺が横行することも予想されるので、利用する際には必ず国税庁が関係する正式な経路からアクセスするようにしたい。

クレジットカード納付のデメリット

クレジットカードでも国税の納付は可能だ。しかし、スマホ決済とは違い、決済手数料がかかる。決済手数料は1万円ごとに加算される形だ。参考までに納付税額5万円までの決済手数料を次に紹介する。

納付税額 決済手数料(税込)
1円~1万円 83円
1万1円~2万円 167円
2万1円~3万円 250円
3万1円~4万円 334円
4万1円~5万円 418円
※以降も同様に1万円を超えるごとに決済手数料が加算される
出典:国税庁「クレジットカード納付のQ&A」

クレジットカードでは、約0.83%の決済手数料がかかると考えてもいいだろう。納付金額が大きいと決して無視できない金額だ。

スマホ決済でのお得な国税納付方法

では、スマホ決済で国税を納付する場合に最もメリットのある支払い方法は何だろうか? 

まず注意したいのは、スマホ決済では通常の支払時にポイントが付与されるが、国税の支払い分は付与対象外になるものもあることだ。

クレジットカードからスマホ決済の残高へチャージし、そのチャージ分から支払うことでポイントの2重取りを狙える。しかし、全ての、あるいは特定のスマホ決済へのチャージ分がポイント付与対象外になるクレジットカードもあるので、そこにも注意が必要となる。

以上の条件をクリアしている、ポイントをお得に獲得できる支払い方法の一例として「au PAY」と「Orico Card THE POINT」の組み合わせを紹介しよう。

au PAY×Orico Card THE POINTの組み合わせで1.5%還元に

「au PAY」は支払時に0.5%分のPontaポイントが付与され、国税の納付もポイント付与対象となっている。同ポイントはさまざまな店舗で使える共通ポイントなので、使いみちに困ることはないだろう。

では、「au PAY」の残高にチャージするクレジットカードは何がいいのか?普通に考えるとauつながりで、年会費無料の「au PAYカード」が思い浮かぶ。ところが、このカードでは、2022年12月から「au PAY」残高へのチャージ分がポイント付与対象外となってしまった。

ただし、上位ランクの「au PAYゴールドカード」なら「au PAY」残高へのチャージ分に1%分のポイントが付与される。しかし、年会費に1万1,000円(税込)がかかるので、ポイント獲得の点だけで判断するならいい選択肢とはいえない。

では、au系のクレジットカード以外はどうだろうか?「au PAY」残高へのチャージ分にポイントが付与される高還元率の年会費無料カードとして、以前は楽天カードが代表格だった。しかし、こちらも2022年7月から「au PAY」残高へのチャージ分がポイント付与対象外に。

一方、同じく高還元率の年会費無料カードとして知られる「Orico Card THE POINT(オリコカード ザ ポイント)」は、国際ブランドにMasterCardを選ぶと「au PAY」残高へのチャージが可能でポイントも付与。ポイント還元率は1%となる。

以上のことから、「Orico Card THE POINT」で残高チャージした「au PAY」で国税を納付すると合計で1.5%還元となる。1回の上限である30万円を納付した場合は、4,500円相当のポイントが還元される形だ。

ポイント規約の改変に注意

国税には所得税や法人税のほか、相続税、贈与税、消費税などがある。会社員の場合、相続税、贈与税以外を納める機会はあまりなさそうだが、副業をしていれば所得税や法人税、消費税などとも無縁ではないだろう。

ポイント還元はそこまで大きな金額に思えないかもしれない。しかし、現金納付なら戻ってこないものが少しでも戻ってくると考えれば、スマホ納付を検討する価値はありそうだ。

ただし、近年クレジットカードやスマホ決済のポイント規約の改変がめまぐるしくなっているので、実際の納付の前にはそうした変更の有無をよく調べておきたい。

文・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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