世界的なインフレが深刻化し、岸田文雄政権の新しい資本主義でも「貯蓄から投資へ」と掲げられているように、株式などへの投資を検討する人は多いだろう。一方で、日本を代表する実業家の1人として知られる堀江貴文氏は、対談動画の中で自ら「株式投資はしない」と断言する。その真意はどこにあるのか。

堀江氏の「株式投資はしない」スタイルとは?

堀江氏は、経済ニュースプラットフォームの「NewsPicks」が提供する動画で、元日本マイクロソフト社長の成毛眞氏と対談した。米国投資や成長企業について意見を交わす中で、堀江氏は「株式投資はしない」と発言している。株式だけでなく、生命保険や現金貯蓄に回すわけでもない。

堀江氏は「自分の事業に全投資する」と述べる。ITから宇宙分野まで、幅広いビジネスを手がけてきた堀江氏だからこその説得力だ。動画では、「これは絶対面白くなるって事業がパッと見えるので、それをシードで作っちゃうのが、本当に好きで好きでしょうがない」という。

「楽をして」ではなく「楽しい」ことを

堀江氏はこれまでの著書などで、金融商品を買ってもうけたいと考える人は多いが、それは「ほぼ負けが確定したゲーム」だと述べている。

ビジネスにおいて欠かせないのは希少価値だ。例えば、100万円や200万円を投資したところで、同額の投資をする人は多くいて、その時点で希少価値は低い。100億円単位で投資できるなら世界は変わるかもしれないが、現実的だという人はほとんどいないだろう。

少額のお金で「勝率」を上げるには、自分で希少価値の高い事業を始めることだという。何より「自分が楽しい」ことが欠かせない。

事業投資のメリット

金融商品ではなく事業への投資、つまりビジネスを自ら始めることにはどのようなメリットがあるのか。最も大きな点は、漫然と予測評価の高い銘柄を買ったり、なんとなく出勤したり、といった生活から抜け出せることだ。

事業を始めると、自分の時間やお金といったリソースを割き、最大効率でリターンを生み出さなければならない。リターンはお金に限らず、社会貢献度などである場合もあるが、いずれにしても「どうすれば利益や結果が出るのか」「事業が成功するのか」を常に考え、PDCAを回していくことになる。

思考停止から脱し、全力で考える「楽しさ」

最も重要なのは、堀江氏も否定する「思考停止」から脱することだ。金融商品への投資を必ずしも否定するわけではないが、何事も「漫然と」「なんとなく」といった姿勢は時間やお金のリソースを無駄に浪費してしまう。

対照的に、例えば自身の事業のように効率や可能性を常に全力で考え続けること、その取り組みが堀江氏のいう「楽しさ」にもつながる投資術ではないだろうか。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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