リカレント教育が注目されている背景
なぜ今、日本でリカレント教育が注目されているのでしょうか。それには、時代の変化や日本人の暮らし方の変化などが大きく関係しています。リカレント教育が注目されている背景について解説します。
ライフスタイルの変化
従来の働き方に比べて、現在のライフスタイルは非常に多様です。出社勤務だけでなく、在宅勤務や地方に移住しながら働けるテレワークスタイルなど、従業員がさまざまな働き方を選択できる時代になりました。
そんな現代においては、専門的な知識や技術を身に付けていることが自身が理想とするライフスタイル実現の近道になります。個人の新たな生き方を叶えるひとつの手段として、リカレント教育が注目されています。
人生100年時代の到来
リカレント教育が注目されている背景には、人生100年時代の到来が関係しています。
従来までの日本人のライフステージは、「学業」「仕事・子育て」「引退」の3つに分かれていました。100歳まで生きられるほどに寿命が伸びた現代では、ライフステージが細分化。長く元気に働くには、「学業」「仕事・子育て」のあとに学び直して生涯現役の人生を送るライフスタイルに移行する必要があります。
引退するまでに「学び直し」と「キャリアチェンジ」のライフステージが加わったため、それを実現するリカレント教育制度の充実に注目が集まっているのです。
市場・技術の進化が高速化している(Society 5.0)
市場・技術の進化が高速化している現代においては、これまでは通用していた技術や知識では対応できなくなることも起こりえます。
これまでの情報社会では、サイバー空間にある情報を人間が主体的に取得・分析する必要がありました。しかし、今後訪れるとされる未来社会Society 5.0では、サイバー空間とフィジカル空間で相互的なやりとりがなされると考えられています。
こうした社会では、より専門的かつ高度なIT技術と知識を習得した人材が必要です。適した人材を育成できるため、ITの分野においてもリカレント教育が注目されています。
雇用の流動化による競争優位性の確保
現代の日本では、スキルアップやキャリアアップの方法として転職が当たり前になっています。優秀な人がより自身の能力を発揮できる場所を求めているため、企業は優秀な人材が長く働いてくれるように、教育支援制度を充実させなければなりません。
例えば、学び直しのために退職した元従業員を受け入れる制度は、リカレント教育を受ける側にとって安心材料となります。離職期間は企業にとってデメリットですが、最新の専門知識や技術を習得した従業員が再就職してくれれば、大きなメリットが期待できます。
雇用が流動化しやすい現代において競争優位性を確保するという意味でも、リカレント教育は今後より重要なポイントとなっていくでしょう。