フリーランスや副業者にとって大きな障害になるのが「確定申告」。日々の帳簿付けや申告の負担は大きく、「確定申告があるからフリーランスはイヤ」という声もよく聞きます。

そんな確定申告ですが、みなさんも一度は「確定申告を税理士に丸投げしたい!」と思ったことがあるでしょう。しかし、実際に丸投げすることのメリット・デメリットや丸投げすべき売上の基準、外注相場など、素人には分からないことだらけなのが現状です。

そこで、この記事では確定申告の外注を考えているフリーライターが、2名の税理士さんにインタビューを行いました。

目次
確定申告を税理士に外注依頼すると、何をどこまでやってくれる?
税理士と顧問契約は結ぶべき? メリットとデメリット

確定申告を税理士に外注依頼すると、何をどこまでやってくれる?

齊藤:
そもそも「確定申告の依頼」をお願いした場合、税理士さんはどこまで・どんな作業をやってくれるものですか?

伊沢:
確定申告の依頼は、2通りが考えられます。

一つめは「日々の帳簿付けから確定申告書の作成まですべて税理士が行うパターン」、二つめが「日々の帳簿付けはお客様にお願いし、税理士がチェックした内容を踏まえて確定申告書を作成するパターン」です。

ただ、最近の税理士は単にお客様の手足となって確定申告の代行をするだけでなく、顧問契約を結んだうえで、経営や資金調達、節税のアドバイスなどを行い、事業運営のサポートをすることが増えてきました。確定申告の代行は、その一環として行うものでもあります。

売上いくらから確定申告を外注依頼すべき? 税理士2名に聞いてみた
(画像=▲伊沢先生、『Workship MAGAZINE』より引用)

伊沢:
とはいえ、たとえば確定申告ギリギリになって税理士へ依頼し、駆け込みで確定申告の代行だけやってもらうことも可能です。この場合は、「スポット契約」と呼ばれる契約形態になり、文字通り一時的なお付き合いとなります。

飯塚:
詳しくはあとで解説しますが、スポット契約を受け付けるかどうかは税理士事務所次第なのが正直なところです。基本的には顧問契約を結び、継続的に税務トータルの面倒を見させてもらうことが多いので、2〜3月の確定申告シーズンにいきなり税理士にスポット契約をお願いしても、断られてしまったり、特急料金を取られたりするケースがあります。

売上いくらから確定申告を外注依頼すべき? 税理士2名に聞いてみた
(画像=▲飯塚先生、『Workship MAGAZINE』より引用)

税理士と顧問契約は結ぶべき? メリットとデメリット

齊藤:
先ほど「顧問契約」というワードが出てきましたが、フリーランスが税理士さんと顧問契約を結ぶメリット、デメリットはどんなものが考えられますか?

伊沢:
顧問契約のメリットは、年間を通じてのお付き合いとなるため、いざというときにお金に関して気軽に相談できることでしょう。お客様のビジネスをしっかり理解した税理士が顧問にいれば、「新規事業を始めたい」「融資を受けたい」といった場合の税務的なアドバイスはもちろん、ファイナンスの面でその決断を勧められるか意見できます。

また、年単位で損益・資産・負債といった情報を振り返れたり、経営面でのアドバイスができたりするのも大きいです。期末に向けたおおまかな税金額の予測などもできるので、稼ぎすぎていた場合に、早めの節税サポートが可能になります。

飯塚:
いわば、税理士を「二人三脚で事業をサポートしてくれるパートナー」にすることができるので、その部分に魅力を感じていただけると思います。

伊沢:
反対に、デメリットとなるのはやはりコストの高さでしょう。当然ですが、年間を通じてのお付き合いとなるため、報酬額もスポット契約に比べると高めです。

参考までに、「税理士と顧問契約を結ぶ場合」と「税理士にスポットで確定申告を依頼する場合」、「自力で確定申告をする場合」のメリット・デメリットや費用感を整理してみました。

顧問契約スポット自力
確定申告の代行×
確定申告の正確性
経営サポート××
費用高め低めほぼゼロ
その他メリット・節税提案ができる
・継続的な税務アドバイスができる
・副業の場合は効果が大きい
その他デメリット・副業や一時的な収入の場合、コストパフォーマンスが合わない・依頼時期によっては節税が難しい・確定申告作業が面倒
・申告ミスで税金を誤って多く計算してしまうなどのリスク有