高齢者の死亡場所はどこか

高齢者は、現実にはどこで死亡しているのでしょう。これは、アドバイザリーボードの資料からある程度推測できます。なぜなら、現在は入院の基準が厳格化されたので、「軽症」なら自宅療養になるからです。

自宅での死亡事例は、第109回アドバイザリーボード資料に示されています。

出典:第109回アドバイザリーボード資料2-4(P1)

それによると、「自宅療養の希望ありが22.8%、希望なしが10.3%、不明者及び死後に陽性が判明した者が66.9%」とあります。読んだとおりで、過半数は死後にPCR陽性が判明したことになります。

つまり、直接の死因はコロナではないケースが大半ということです。

新型コロナの死者の過半数は80歳以上の高齢者です。上の図によると、全体の69%に基礎疾患があることから、自宅死亡者の多くは基礎疾患がある高齢者でしょう。

出典:厚労省 データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-

そこで、第108回アドバイザリーボード資料から、80歳以上の重症化率と致死率をグラフ化してみました。

出典:第108回アドバイザリーボード資料3-7(P20-21)

第6波の重症率は0.83%であり、季節性インフルエンザ(60歳以上)の0.79%とほぼ同じです。新型コロナの数値は80歳以上なので、インフルが60歳以上であることを考えると、オミクロン株の重症化率は、一般的にインフルより低いと考えていいでしょう。

ただ、オミクロン株で重症者の数倍も死者が出ることは、私は到底信じることができません。

「軽症」の人は自宅療養になるので、もし高齢者の死者の多くは自宅で死亡し、死後にPCR陽性が判明したとすると、重症者の何倍もの死亡者が出ている事実がうまく説明できます。これは、前述の自宅での死亡事例にあるとおりです。

80歳以上なら、相当の人数が高齢者福祉施設に入所していると考えられます。そこで、クラスターがどこでどのぐらい発生したのかも調べてみました。

出典:第109回アドバイザリーボード資料3-6(P16)

見たとおり、クラスターは高齢者福祉施設で集中的に発生していることがわかります。