お金持ちの家の買い方には、一般人とは違う特徴がある。不動産業界に勤める椎野さん(30代男性)に、お金持ちの家の買い方の特徴について伺った。椎野さんによると、お金持ちの中でも、「小金持ち」と「大金持ち」で家の買い方がさらに異なるという。それぞれのケース別に解説する。
小金持ちの家の買い方とは
まずは、小金持ちの家の買い方として、以下の2パターンがある。
● 転売を念頭に置いている
● 高級住宅街にある家を購入
それぞれ、どういう意図があっての買い方なのかを確認しよう。
転売を念頭に置いている
小金持ちは、自宅を買う場合に将来の買い替えを見据え、転売を考慮に入れて物件を探す。交通アクセスの良さや生活環境の充実度などが高ければ高いほど売却しやすくなり、価値も上がって転売による利益も期待できるからだ。
一般的な収入の人は単純に自分が住む家を購入するため、買い替えはあまり意識せず希望の間取りを満たしやすい郊外の家を購入しがちだ。しかし、将来家を買い替えたくなる場合、郊外の家はなかなか売れずに困る可能性もある。
高級住宅街にある家を好む
小金持ちは、十分な広さを持つ邸宅を建てるために、高級住宅街の土地や家を購入する。広大な土地なら郊外の方が安く購入できるが、将来的な価値を考えると、少子高齢化が進み過疎化する可能性のある郊外よりも、都市圏に近く便利で価値の下がりにくい高級住宅街の方が、価値が上がることが期待できる。
このように、小金持ちは転売も念頭に置きつつ高級住宅街に家を買うことで、資産を増やすことを意識する。ずっと住み続けるとしても売却するにしても、資産としての価値が高まるよう、小金持ちは転売しやすい土地や家を購入するのだ。
大金持ちの家の買い方とは
一方で多くの資産を持つ大金持ちの場合、家の買い方には以下の3パターンがある。
● 他人に貸し出し、長期収入源として不動産を買う
● 自分は職場近くの賃貸で暮らす
● 税金対策で家を買う
小金持ちよりも多くの資産を持つ大金持ちの場合、家の買い方がどのように変化するかを見ていこう。
他人に貸し出し、長期収入源として不動産を買う
大金持ちは、他人に貸し出して長期的な収入源とするためにも、不動産を購入する。
家賃収入などを意味するインカムゲインは不動産を転売して差益を得るキャピタルゲインよりも、安定した収入を得られる。キャピタルゲインは不動産価格が下落している相場では、損失が出る可能性があるが、インカムゲインなら不動産市場の影響を受けずに賃貸収入を得られるためだ。
また、不動産を貸し出すと相続税評価額は下がるため、資産圧縮効果もある。富裕層の多くがマンション経営を手がけている理由は、相続を視野に入れているためだ。
自分は職場近くの賃貸で暮らす
大金持ちは仕事熱心な人も多く見られる。仕事熱心な大金持ちは、職場の近くで賃貸物件を探し、無駄な通勤時間をなくす。居住用の家を買うと、どうしても職場の移動に伴うフットワークが重くなると考え、賃貸を選ぶのだという。
職場近くは交通の便が良く、条件の良い物件は家賃も高くなる。しかし大金持ちは、支払う家賃よりも無駄な時間をなくして生産性を上げる方を選択して、より多くのお金を稼ぐのだ。
税金対策で家を買う
大金持ちは、「所得税を減らす」「資産を圧縮する」などの税金対策としても家を購入する。資産を持つ者の悩みのひとつは、高額な相続税だ。例えば、相続税の課税額は、土地の購入代金より3割ほど安くなる路線価を元に算出されるため、資産の圧縮効果がある。大金持ちは、税制上のメリットを多く活かし、資産を残すことも考えて家を買うのだ。
大金持ちの実践している税金対策としての不動産投資テクニック
ここで、大金持ちが税金対策用に米国の木造住宅を買っているテクニックを紹介しよう。米国で築22年以上の木造住宅への投資だ。
米国の不動産を購入しても、税制(税金の計算方法)は日本に従うことになる。日本では築22年を超えた木造住宅はほぼ価値がなくなると考えられている。そのため、木造住宅は4年での減価償却が可能だ。しかし、米国では古い家も手入れをして住み続けるため、資産価値はほとんど下がらない。
つまり、築22年を超える木造住宅は、米国での価値はほとんどそのままなのに日本の税制に従い4年で減価償却できるため、非常に効率の良い税金対策となる。
保有資産の規模により家の買い方がこのように大きく異なる。大金持ちの実践する税金対策は、将来家を購入する際に参考になるのではないだろうか。
文・藤森みすず
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