目次
福知山に移住した人5. 堀代知さん (移住体験型シェアハウス運営)
福知山のグルメ(ジビエ・フレンチ、親子丼、鬼そば)
福知山に移住した人5. 堀代知さん (移住体験型シェアハウス運営)
祖父母が住んでいた家を改修して、移住体験型シェアハウス、田舎体験型宿泊施設を運営しているのが、Wぴーすの堀代知さんです。

堀さんは、京都市内で生まれました。この家はおじいちゃんおばあちゃんが住んでいた家で、堀さんは子供の頃、盆と正月に遊びにきていました。

うわ~、いかにもおじいちゃん、おばあちゃんちという雰囲気です。

おじいちゃん、おばあちゃんが亡くなって約4年間、ここは空き家でした。経費(町会費、畑管理費等)もかかり、家を継ぐ者もおらず、親族は始末に困っていたそうです。もちろん、孫の堀さんも福知山に住むつもりはなく、長野県軽井沢で人力車夫の仕事をしていました。
そしてコロナが襲います。観光業に従事していた堀さんの仕事はぱったり止まり、貯金を取り崩す生活になりました。
長引くコロナ禍で長野の家も引き払い、堀さんは一時避難するという感覚で福知山のこの家にやってきました。
ご夫婦で若い頃ニュージーランドでシェアハウスに住んだこともあり、漠然と「いつか年とったら僕たちもシェアハウスができたらいいね~」という気持ちは持ってはいましたが、期せずして自分たちがお試し移住をすることになったのです。
「中六人部(なかむとべ)は高齢者人口が半分以上の限界集落です。「ここで何か自分たちにできること、この土地の役に立てることはないかな」そう考えるようになったんです。福知山市は、市が手厚い移住支援をしていることで取り組みやすいことも背中を押してくれました。」
そうして堀さんは、一時的な生活のための手段として移住体験型シェアハウスを始めましたが、やっている内に楽しくなってきたんでそうです。
それは人とのつながることの楽しさを知ったからです。
シェアハウスの入居者たちが夜お酒を飲んで楽しそうに話しているのをみるとしあわせを感じるそうです。

建物はレトロ感満載ですが、部屋、サロン、キッチン、きれいにリノベーションされています。

最近では、居住者が地元の農家さんと知り合いになって休日いっしょに遊びに行ったり、ヨガ教室を開いたり、地域とのつながりが深まっています。そういうのをみていても「シェアハウスをやっていてよかったなぁ」と感じるそうです。
Wピースは移住体験型シェアハウスですから、滞在し続けることはできません。滞在期間は最低2週間から最大1年まで。平均すると2か月滞在という人が多いのだとか。年代的には20代~30代のひとりで滞在するケースが多いですが、50代の人もいるそう。
家具、家電も揃っていて身ひとつでやってきても暮らせるのが体験型住宅の手軽さです。入居に必要な金額は、保証金30,000円と月額家賃37,000~41,000円(取材時)。

私世代(50代)からすると、他人と共同生活するシェアハウスというのは、ハードルが高くて行動に躊躇してしまう気持ちがありました。
「最近の若い人にはそういう気持ちはあまりないものなのか・・・?」この疑問を堀さんにぶつけてみました。
「昔に比べると共同生活をすることに抵抗がないという層は増えているように思います。しかし全体からみれば日本ではまだまだです。やはりシェアハウス入居の一番の理由は「安いから」でしょう。でもね、こんな例もありました。人見知りの女の子がこわごわシェアハウスに入ってきて、ある時期から顔色が変わり、行動が変わったんです。人と人とのつながりはそれほど生きるエネルギーを与えるのだと思います。」
堀さんはこのWぴーすを通じて「地域を未来へつなぐ一つの架け橋になりたい」と思っているそうです。

堀さんは若い頃、一度移住経験があるそうです。しかしその時は数か月で挫折してしまった。3日間誰とも口を利かないことがあったり、孤独に耐え切れなくなったそうです。
「人とのつながり、交流が生きる活力になり、ひいては世界平和につながる。その一助になりたい。大げさに聞こえるかもしれませんが、今は心からそう思っています。」そう話す堀さんの目は輝いていました。
移住を考えている人に、移住経験者からのアドバイス まとめ
「移住したいと思う時、どんなことを意識したらよいでしょうか?」という質問に対して・・・
- 「確固たる信念がなければ、移住は成功しない」ということはありません。フットワークの軽さも大事です
- 事前にいろいろ調べておくことも大事ですが、動いてみて初めてわかることもあります
- お試し移住等ができる町なら、ぜひ体験してみた方が良い
- 最悪の事態(例:収入が途絶えても月に最低限いくらあれば生活していけるか?等)を予め想定しておくと、思い通りにいかないことが起こってもパニクらない
- 自分ひとりで抱え込まないで、周りの人に頼ったり、相談したりすることを躊躇しないで!
福知山のグルメ(ジビエ・フレンチ、親子丼、鬼そば)
福知山は食がとても豊かな街でした。今回食べた福知山グルメをどど~んとご紹介しましょう。
ビストロq
福知山市街にある、おしゃれなジビエ&フレンチ料理を供するビストロq。

「中学生の時に作った料理を両親が美味しいといってくれた」のが塩見シェフが料理の道に入ったきっかけだったそうです。
今はお父さんが育てた野菜を使って息子が料理の腕を振るっています。
ちなみになぜ店名が「q」なのか尋ねてみたところ、塩見シェフはこう答えられました。
「数字の「9」が好きなこと、まだ駆け出しの頃、尊敬する経営者から「3は安定を意味し、その3が3つ揃った9が最も安定する数字」ということを教わり、心に強く響きました。 また私は「4」という数字は好きではありません。ただ「4」をどうにか受け入れ、克服する術はないかと考えました。そして四ツ葉のクローバーは4でありながら幸福の象徴であることを思い出しました。四ツ葉のクローバーはフランス語で「trèfle à quatre feuilles」ですので、四ツ葉(quatre feuilles)の頭文字からq(9)を拝借した意味合いもあります。自分の人生に於いて、好きなことも苦手なことも受け入れて財産にしていかなければいけないな、という想いも込めています。」と。


塩見シェフが「今日はいい鹿が入ったのでこちらをご提供します。」と見せてくださいました。

左から、丸なす揚げミートソース 万願寺、かぼちゃのマリネクミン風味。晩餐の序章です。万願寺の食感、絶妙でした。

ねっとりと濃厚なコクがあり、白ワインが進みます。

初めて食べました。キクイモは薬のイメージがありましたが、ポタージュにぴったりのまろやかな舌触りでクセもなく、美味しかったです。

白身のあっさりした魚ですが、ほどよく脂ものって、肝を使った濃厚なソースが絡み、食べ応えのあるお料理でした。

さっぱりした甘さとジューシーさで口直しにぴったり。

出ました!本日のメインディッシュ。濃厚ですがクドくはありません。赤ワインとベストマッチングです。獣肉のクセはまったく感じません。

さらにこちら。これは想像を超える美味しさでした。脂身が少ないのに柔らかく、きめ細かい絹のような舌ざわりです。
他のどんな肉よりも上品で上等なステーキだと感じました。若く新鮮な鹿だからこそ、この味が出るのだろうと思います。

大江町の「卵どすえ」を使ったデザート。表面の焦げめが想像以上にパリパリで、中の卵が色も味も濃厚で、生まれてこれまで食べたの中で一番深い味のクレームブリュレでした。
いや~レベルの高いフレンチでした。さすが「肉の町 福知山!」
柳町
福知山の中でも、城下町風情の残る下柳地区にある鴨鍋がメインのレストランです。

静かでどこか懐かしい、情趣溢れる通りにそのお店はあります。

柳町。明治時代の町家を改装し、落ち着いた雰囲気の中で、名物の鴨肉と葱だけの鍋"鴨すき"や地元産の野菜や地鶏を使ったメニューを楽しむことができます。まるで京都の祇園にいるようです。

明治の文豪が住んでいたかのような立派なお屋敷です。

内観はシンプルでよけいなものは削ぎ落とされています。

玉子の色が濃いでしょう? 半熟度合いが絶妙で、トロトロ感。親子丼はこうでなくちゃいけません。香りが甘く、地鶏も柔らかくコクがあり、歯ごたえもしっかりあります。山椒の効いた黒七味をかけると更に旨みと香りが広がります。
ちなみにこの親子丼、11月8~9日に福知山城で行われた将棋の竜王戦で、あの藤井聡太さんがランチで召し上がったそうですよ。
柳町は観光客だけでなく、地元のお客さんも多く訪れるようです。
私たちがお店を出る時には・・・

親子丼、売り切れ。。。予約必須です。

入口にはこれまたおしゃれなBarがあり、こだわりの美味しいコーヒーやお酒をいただくことができます。
鬼ヶそば
鬼伝説が残る大江町の山深い場所にあるのが鬼ヶそばです。

う~ん、この雰囲気はちょっとやそっとじゃ出せません。何かが出てきそうな(笑)。座敷に通され、囲炉裏端でいただいたそばがこちらです。

殻まで挽いたひきぐるみの黒いそばで、風味が強いです。歯ごたえもしっかりしています。そば通を唸らせる味でしょう。