作家が本を書くために山に籠る、そんな話を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣氏も以前本を書くために10日間山に籠り、1日15時間執筆していたという。

西野氏が本の執筆をまとめて一気に終わらせたように、数時間〜数十時間以上かかるような仕事=プロジェクトは、一度に終わらせたほうが早くて効率的、そう考える人も多いだろう。しかし実際は、まとめて一気に終わらせるやり方が必ずしも効率的とは限らない。

たとえば作家の村上春樹氏は執筆作業を細分化して毎日同じペースで取り組んでいるという。著書『職業としての小説家(新潮社 2016)』によれば長編小説を書く場合、一日に400字詰原稿用紙十枚程度を書くことをルールとし、『もっと書きたくなっても十枚くらいでやめておくし、今日は今ひとつ乗らないなと思っても、なんとかがんばって十枚は書きます。なぜなら長い仕事をするときには、規則性が大切な意味を持ってくるからです』と語っている。

同じ本を書く行為でもまとめて一気に終わらせるやり方(西野式)と、仕事を細分化して毎日少しずつ同じペースで取り組んでいくやり方=村上式がある。

執筆に限らず、一般のビジネスパーソンでも仕事では時間のかかるプロジェクトに取り組むことは珍しくない。そんな時に西野式と村上式のどちらのやり方がはたして効率的なのか。あるいは西野式、村上式以外の効率的なやり方が他にあるのか。

現在も大手企業で働き、タスク管理を見直すことで一日約14時間の長時間労働を改めることに成功し、2016年から残業ゼロを達成し続けているタスク管理の専門家の立場からこの問題について考えてみたい。

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