カスタマーサクセスは、昨今、日本のビジネスシーンでよく使われるようになってきた言葉です。これは、日本でサブスクリプション型のサービスが浸透してきたという時代背景が大きく関係しています。しかし、カスタマーサクセスという言葉を聞いたことはあるものの、具体的に何を行えば良いのか、分からない人も多いかもしれません。

そこで、本記事ではカスタマーサクセスの概要や必要な理由、やるべきことを具体的に解説します。また、カスタマーサクセスで意識するべきポイントや成功させるための方法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。

目次
1.カスタマーサクセスとは?
2.カスタマーサクセスがなぜ必要なのか
 2.1.CXと関係している
 2.2.市場が成熟してきている
3.カスタマーサクセスでは具体的に何を行う?
 3.1.コミュニティ活動
 3.2.導入支援
 3.3.モニタリング
4.カスタマーサクセスを行う際に覚えるべき用語
 4.1. LTV(ライフタイムバリュー)
 4.2.オンボーディング
5.カスタマーサクセスで意識するべきポイント
 5.1.LTVもしくはチャーンレート(解約率)
 5.2.顧客ロイヤリティ
 5.3.アップセル・クロスセル
6.カスタマーサクセスを成功させるためには
 6.1.組織(会社)全体で取り組む
 6.2.顧客の成功を言語化する
7.まとめ

カスタマーサクセスとは?

はじめに、カスタマーサクセスの概要から解説します。カスタマーサクセスとは、顧客の成功をサポートすることです。Customer Successを直訳すると「顧客の成功(体験)」であり、企業が能動的に顧客と関わりながら顧客の成功を支援します。

従来でも、顧客に対してはコールセンターやアフターフォローサービスを設置するなどして、顧客の意見を拾う活動はされていました。しかし、これらは受動的であり、能動的に企業が動いていたわけではありません。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いは、この受動的であるか、能動的であるかという点が非常に大きいです。顧客の成功を言語化して、その成功を実現するためのサポートがカスタマーサクセスになります。カスタマーサクセスでは、顧客の声を能動的に拾うだけではなく、コンサルタントのような形でサポートを提供することもあります。

カスタマーサクセスがなぜ必要なのか

では、なぜカスタマーサクセスが重要視され、必要とされているのでしょうか。それには、下記2つの理由が挙げられます。

・ CXと関係している
・ 市場が成熟してきている

それぞれ順番に見ていきましょう。

CXと関係している

カスタマーサクセスは、CXと関係しています。CXとは「顧客体験」のことであり、サービスを通じて、顧客がどのような体験をするかを表したものです。近年では、どのサービスも一定品質以上の体験を顧客に提供できており、差別化が非常に難しい状態となっています。そのため、顧客からしてみれば、どのサービスを選べば最も良い体験ができるかを選ぶことが難しいのが現状です。

これらを解決するために、カスタマーサクセスの必要性が求められています。競合他社が従来のサービスを提供している中、自社がカスタマーサクセスで顧客に能動的なサポートを行うことができれば、それが競合他社との圧倒的な差別化ポイントになります。また、CXを高めれば口コミで自然とサービスが広がっていくため、広告費を削減できることにもつながります。

市場が成熟してきている

上述した内容と共通する部分もありますが、市場が成熟してきていることもカスタマーサクセスが必要な理由の1つです。サービスの差別化が難しく、なおかつどの会社も魅力的な広告で集客できてしまうため、顧客が自分の満足度を高められるサービスを選ぶことが難しくなってきています。

また、サブスクリプション型のサービスが広まりつつあることもカスタマーサクセスが求められる理由になります。サブスクリプション型のサービスは、顧客がサービスを契約した時点がゴールではなく、あくまでもスタート地点にすぎません。サブスクリプション型以外のサービスは「売り切りモデル」として、商品を提供した時点がゴールとなるケースが一般的です。

しかし、サブスクリプション型は契約時がスタート地点であり、契約中は高い満足度をキープし続けなければなりません。そのため、これらの高い満足度を実現するための手段の1つとして、カスタマーサクセスが重要視されているのです。