新型コロナウイルスの感染拡大で、「密」を避けられるアウトドアレジャーの人気が高まった。中でも、年齢や性別を問わず、家族でも一人でも楽しめる登山やハイキングは魅力的だ。一方で、道に迷ったり転倒したりして遭難すると救助に膨大な費用がかかるケースもあるため、十分な知識や対策を備えておきたい。

遭難のリスクは低い山やハイキングでも

毎年全国で多くの遭難事故が発生している。警察庁の統計によると、2021年の山岳遭難は2,635件、遭難者は3,075人だ。死者・行方不明者は283人で、負傷者は1,157人に上る。

遭難は標高の高い山や上級者コースだけではなく、初心者が訪れる低い山やハイキングでも多く起きている。登山者の山への知識や装備が不十分なまま訪れてしまうことが一因だ。

救助費用はいくらかかる?

登山者の遭難が発覚すると、生命の危険があるため一刻も早い発見と救助が求められる。捜索・救助作業にはどのような費用がかかるのか。

民間捜索では「人数×日数」が目安

遭難者本人や家族などが警察に依頼すると、地元の警察など公的組織が一時捜索を行う。この場合、遭難者側の費用は、原則無料であることが多い。しかし、すぐに発見できないなど、状況によって民間の捜索を依頼することになる。

民間の捜索の場合は有料で、規模や期間によって費用は変動する。救助にあたる人の日当(3万〜5万円)や宿泊費、保険料などが必要だ。1日間の捜索で無事に発見・救助された場合でも、30万円近くかかるケースもある。

民間ヘリは数百万円?

山岳遭難では、ヘリコプターによる捜索が行われることもある。公的機関の防災ヘリは他の事故対応などで使用していて出動できないこともあり、民間ヘリが出動するケースも多い。

民間ヘリは有料で、料金体系は運営会社によって異なるものの、「1分1万円」ともいわれている。遭難場所が不明であれば数時間、数日間にわたって飛ぶことになり、あっという間に数百万円に達してしまうことも考えられる。自治体によっては、防災ヘリも有料化している場合がある。

登山計画に合わせた「山岳保険」を準備

山へ向かう前は、遭難時の捜索費用(「救援者費用」など)が補償されている山岳保険などに登録しておくことが重要だ。費用やプラン内容はさまざまなので、自身の登山スタイルに合わせて加入したい。

年に数回程度、日帰りハイキングや1泊程度の登山を楽しむ人ならば、1日単位で加入できる保険がある。1泊2日までであれば、1,000円以下で契約できるものが多い。頻繁に山に登る人には年間契約がおすすめだ。会員が年会費を支払うことで、救助時の費用を相互扶助する制度である「日本山岳救助機構会員制度(jRO)」もある。

事前の準備も、万が一の対策も

山に登る前には、装備や天候、ルートの下調べ、体調管理など事前の準備を徹底することが不可欠だ。しかし、どれだけ気をつけていても遭難のおそれはある。自身や家族のためにも、不測の事態に備えて十分な対策をしておきたい。

文・MONEY TIMES編集部

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