東のほうでメジロラッシュ

タチウオ釣りに向けて活きドジョウを注文していたので、16時前に5番の船着場に向けて東に移動する途中、一人の釣り人が大きく竿を曲げていた。タモ網を持って傍らでスタンバイしていた仲間の期待に見事に応え、見事なメジロが捕獲された。ノマセ釣りの釣果と知って駆け寄りタナを聞くと、2ヒロ半と親切に教えてくれた。

船着場でドジョウを受け取り折り返し戻る最中で、また同じ釣り人が奮闘。わずか10分ほどの間に2度目のヒットを呼び込んだ様を見て、これは自分にとっても吉報到来だと、急いで釣り座に戻り、小アジを付けかえて打ち返した。程なくして「またあの人や!ダブルヒットやったで」と離れたところから声が聞こえてくる。メジロラッシュに湧き立つ波止上で、「群れよ、自分の方にもこい!」と祈るように心の中の声をあげた。

メジロ62cmを手中に

少しでも獲物に出会える確率を上げようと、尻手ロープをセットした状態で置き竿にして、小アジの付けかえのために梯子の下に降りて目を離したスキに「おい!掛かっとるぞ!」と隣の釣り人の叫び声が聞こえた。振り向くと私の置き竿がガクンガクンと大きく揺れていた。ついにヒットした!あとは私に寄せてくる腕があるかないかだ。

ドラク操作と竿捌きを繰り返すが、魚はなかなか寄って来ない。「ブリか?」と聞かれたが、竿から伝わる感触から「メジロですわ」と返す。両隣の釣り人が仕掛けを上げて釣りをストップしてくれたのは、有難くもあり心苦しくもあった。

「とにかく魚体を海面に上げないと」という思いでやりとりするが、竿捌きの割に魚が上がってこない違和感に気付いた。隣の人がタモ入れの助太刀をかってくれて、横でスタンバイしてくれている中、ようやく海面に魚体が見えた瞬間「ヤバイ!」と不安感が一気に襲い掛かった。ハリはスレ掛かりしていた。一つ間違ったらバラしてしまう。無理はできない。

「メジロだいぶ弱ってきたな」との周りの励ましの言葉が身に沁みる。タモ入れを試みること4回目、見事な助太刀でネットインに成功。ハリはエラの近くに親バリ1本で浅く掛かっていて、バラシ紙一重の状態だった。「ご苦労さん、ハイ」と引き渡されたタモ網に収まったメジロの姿と、周りの釣り人の温かな表情に感無量。執念の4連続釣行でメジロ62cmを手中にし、ようやく溜飲を下げることができた。

ちょうど17時便の到着前とあって、事前に電話を入れてから、有料の魚預かりサービスを利用。船上でメジロを船長に預けて、最終便までの残り時間をタチウオ釣りに転じることにした。

武庫川一文字に執念の4連続釣行 ノマセ釣りで62cmのメジロ捕獲し溜飲62cmのメジロ(提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)