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美術品収蔵も兼ねて建てられた雅俗山荘
昔の庄屋の長屋門
美術品収蔵も兼ねて建てられた雅俗山荘

(画像=<雅俗山荘外観/©Kanmuri Yuki>,『たびこふれ』より 引用)
とはいえ、小林一三記念館の一番の見どころは、同氏の旧邸「雅俗山荘」でしょう。施工は竹中工務店(関連記事:匠の技と心を継承する竹中大工道具館)で、設計は同社の小林利助。1936年(昭和11年)竣工の洋館です。この小林利助は、「日本一の長者村」であった住吉(関連記事:神戸市御影(みかげ)をめぐる発見:その1)に、野村財閥リーダー野村徳七の邸宅を設計した人物でもあります。1923年竣工で「イギリス風の尖塔を持つ豪壮な」館(住吉歴史資料館だより、第15号)だったそうですが、1945年8月戦火で焼け落ちて、残念ながら現存していません。
茶人であり美術蒐集家でもあった小林一三は、雅俗山荘を建てた時すでに60代でした。そのため同邸は、建築当初から美術工芸品収蔵を考慮し、耐火構造の鉄筋コンクリート造になっています。
昔の庄屋の長屋門

(画像=<扉の四つ葉模様/©Kanmuri Yuki>,『たびこふれ』より 引用)
雅俗山荘は、外壁の一階部分に竜山石を張るハーフティンバー様式の洋館です。特に2階妻側の四つ葉模様と蝶番の目立つ木造扉の四つ葉模様が呼応しているのが印象的です。洋館なのに、どことなく和の雰囲気を感じるのは、入り口の長屋門や、庭木、灯篭のせいでしょうか。

(画像=<長屋門/©Kanmuri Yuki>,『たびこふれ』より 引用)
正門に使われている堂々たる長屋門は、雅俗山荘建築にあたり、当時の東能勢村から庄屋の長屋門を移築したものです。