任天堂の1株当たりの株価が2022年10月、従来比で10分の1に引き下がった。購入投資家層の拡大を図り、株式分割を実施したためだ。株式分割とは、一体どのような仕組みを指すのだろうか。任天堂の業績やこの影響もあわせて探っていきたい。

投資家の好感度は依然として高い

「マリオブラザーズ」や「ポケモンシリーズ」など、幅広い世代に愛される数々のゲーム機やゲームソフトを開発・販売してきた任天堂。ゲームに関心がない日本人はもちろん、世界的に認知されている企業だ。

新型コロナウイルス禍の巣ごもり需要を取り込み、2021年3月期の連結決算は純利益が前年同期比85.7%増の4,803億円と過去最高を更新。主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売も好調だった。2022年3月期は供給停滞が響き減収減益となったが、売上高や利益は高水準を維持している。

過去10年の株価の動きを見てみると、上下に変動はあるものの、堅調に右肩上がりを示している。特に新型コロナが感染拡大した2020年から2021年半ばにかけては、好業績が好感され、買いが優勢となった。

任天堂の株取得、ハードル低く

任天堂は10月1日付で、発行済みの普通株式を1株につき10株に分割した。1株当たりの価値が下がったことで、これまでの10分の1の資金で任天堂の株が購入できるようになった。

株主総会では、議決権行使に必要最低限の株数(単元株)を保有する必要がある。任天堂の単元株は100株であり、任天堂の株を購入するには株価の100倍に相当する500万~600万円の資金が必要だった。株式分割によりこれが10分割され、50万~60万円で取引できるようになったわけだ。

任天堂が株式分割を実施するのは31年ぶり。投資単位の水準を引き下げることで、これまで株価が高く投資できなかった層による購入が可能となる。売り買いの敷居を下げ、株式の流動性を高める意図もある。

株価安定にも期待

そもそも株式分割とは資本金を変更せずに1株を分割し、発行済みの株式数を増やすことを指す。株数が増えても資産や株全体の価値は変わらず、分割された分だけ1株当たりの株価が変わる仕組みだ。

企業側としては株式流動性の向上のほか、株主が増えることによって株価の安定性が高まるなどのメリットがある。一方、株主数の増加で管理コストが増えるほか、分割を繰り返すことで信頼を下げる可能性があるデメリットも存在する。

株式分割は投資家の好材料に

デメリットもある一方、任天堂の株式分割は31年ぶりとなり、個人投資家からは歓迎の声も。株式分割は買い材料と好感される傾向があるため、以前から任天堂の株式を保有している人にとっては、分割後に株価が上昇すれば恩恵を受けることになる。

文・MONEY TIMES編集部

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