長びくコロナ禍の影響で、飲食店のあり方は大きく変化した。そのひとつがUber Eatsなどのデリバリープラットフォームを利用した、ゴーストレストランという新業態である。本記事では、ゴーストレストランの概要と、既存の飲食店開業と比較したメリットや開業時の注意点について解説する。
ゴーストレストランとはデリバリー特化型の飲食店
ゴーストレストランとは、ひと言でいえばデリバリー特化型の飲食店で、実店舗を持たない点が大きな特徴だ。ゴーストレストランは、飲食店の実店舗を間借りしたり、シェアキッチン、クラウドキッチンなどを利用したりして調理する。クラウドキッチンとは、1つの空間に複数のキッチンが用意された、ゴーストレストラン向けのキッチン施設である。
ゴーストレストンは、客にとっても注文の選択肢が増えるメリットがあり、飲食店を初めて経営する初心者にも比較的開業しやすい点が魅力だ。ゴーストレストンの長所を説明する前に、実店舗型飲食店の開業準備を簡単に確認しよう。
実店舗型飲食店の開業には多くのハードル
実店舗型飲食店の開業でもっとも大きなハードルとなる点は、開店資金が高くなりがちなこと。店舗を借りる場合の賃貸契約料はもちろんのこと、許認可を受けるための内装や調理器具などの準備、食材の仕入れだけでも、開店の初期費用には1,000〜1,500万円はかかると言われる。
また、繁盛する飲食店を目指すには、多くの客が見込める立地の選択や、SNS運営など広告宣伝のノウハウが必要だ。さらに飲食店開店には、「防火管理者」「食品衛生責任者」「飲食店営業許可」などの各種許認可が求められる。
特に飲食店営業許可は、飲食店の所在地を管轄する保健所から許可を受ける必要がある。まずは事前に保健所へ出向き、店舗の謄本や設計図を見せつつ相談しなければならない。内装工事などが終わった後は、細かな規定に従った設備が整っているかのチェックを受ける流れだ。
ゴーストレストラン開業のメリット
ゴーストレストランを開業する場合、ゴーストレストラン運営会社を利用すると開業までのハードルが低くなる。ゴーストレストラン運営会社を利用した場合の開業メリットは、以下の3点である。
● 初期費⽤が安い(50〜300万円程度で開業が可能)
● 開業経験がない⽅も安⼼(ゴーストレストラン運営会社から助言が受けられる)
● クラウドキッチンの場合、すでに許認可を受けている施設を利用するため営業許可を取りやすい
設備の整ったクラウドキッチンなどを借りれば、店舗の内装や調理器具にかかる費用は大幅に抑えられる。ゴーストレストラン運営会社からのアドバイスが受けられる点も大きく、飲食店の開業経験がなくてもスムーズに開業準備が進められるだろう。
さらに、すでに許認可を受けている施設を利用する場合、時間や手間のかかる飲食店営業許可関連の負担も大幅に軽減される。
ゴーストレストラン開業を目指す場合の注意点
飲食店の開業初心者にとってメリットの多いゴーストレストランだが、開業を目指す場合に見落としがちな注意点もいくつかあるので紹介しよう。
まず、デリバリープラットフォームの手数料や、テイクアウト用の容器代が必要になるため、原価計算や価格設定は慎重にしなければならない。競合店の価格調査もした上で、利益の上がる価格設定にしないと商売が成り立たなくなる。
また、キッチンはどうしても狭くなりがちなため、魅力的なメニュー構成にするには、キッチンを効率的に使い、メニュー数を増やす工夫も必要だろう。逆に思い切って1つのメニューでこだわり抜いた料理を提供する、という手もある。
最後に、ゴーストレストラン運営会社の中には、賃料が売上連動型になっているケースがある。賃料の料金設定もチェックし、採算がとれるかどうかをじっくり検討して運営会社を選択したい。
未経験から飲食店を開業したいという場合、小さく始められるゴーストレストランで経験値を積む、という選択肢もある。飲食業界の新形態として広がっていくのではないだろうか。
文 藤森みすず
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