ロシアによるウクライナ侵攻は、長期化の様相を呈している。欧米や日本などはプーチン大統領個人の資産を凍結するなど、ロシアに対して経済制裁を科しているが、プーチン氏から侵攻をやめる気配は感じられない。侵攻を決断したロシアのリーダーは、どれほどの年収を得ているのか。

為替の変動により同じ年で年収は3倍に

ロシア大統領府によると、プーチン氏の2021年の収入は1,020万2,616ルーブルだった。2020年の収入は999万4,692ルーブルで、ロシア側の発表ベースでは、プーチン氏の年収は約1,000万ルーブルと考えてよいだろう。

1,000万ルーブルを日本円に換算すると、いくらになるのか。2022年10月23日時点のルーブル/円レートをもとに、1ルーブル2.4円で計算すると、1,000万ルーブルは2,400万円になる。

もっとも、ルーブルの為替レートは変動が激しい。2022年2月にロシアがウクライナに侵攻した直後は、ルーブルが大きく下落。3月11日には、1ルーブル0.8754円を記録した。このレートでは、1,000万ルーブルが875万4,000円に相当し、10月と比べると日本円換算ではおおよそ3分の1だ。

ルーブルは2007年7月13日に1ルーブル4.7878円をつけており、このレートでは1,000万ルーブルは4,788万円に達する。2022年3月の1ルーブル0.8754円と比べると、実に5倍以上だ。

年収は日本の首相のほうが高い?

ロシア大統領の年収1,000万ルーブルは、他国の首脳の年収と比べて高いのか。

まずは日本の首相の年収を確認したい。日本の首相の給与は「特別職の職員の給与に関する法律」で定められている。内閣官房が公表している資料によると、2022年4月13日時点で、首相の年間給与額は約3,998万円だ。

これには俸給月額201万円、地域手当40万2,000円のほかに、ボーナスに当たる期末手当(年間3.25ヵ月分)が含まれている。ルーブルの為替レートの変動が大きいために一概にはいえないが、2022年に限ればロシア大統領より日本の首相のほうが年収は高い。

首脳の年収の参考としてアメリカ大統領に目を向けると、アメリカ大統領の年収は40万ドルだ。アメリカ大統領の年収も法律で決められており、最近の1ドル150円に達している為替レートで日本円に換算すると、約6,000万円だ。

円安が大きく進行する前の2022年1〜2月ごろの為替レートは、おおむね115円前後だった。1ドル115円で計算すると40万ドルは4,600万円で、これもロシア大統領の年収水準より高い。

プーチン氏の「隠し資産」は30兆円?

ロシア大統領としての年収に限れば、プーチン氏の収入は他国の首脳と比べてそれほど高いわけではない。しかし、保有している資産の総額は、世界トップクラスの可能性がある。

プーチン氏の総資産額について、正確な数字は明らかにされていない。ところが、巨額な規模であることをうかがわせる興味深い証言がある。2017年に、プーチン氏と親交があった投資家がアメリカ議会上院の委員会で、プーチン氏の資産総額は約2,000億ドルに上ると証言した。

プーチン氏の表向きの保有資産は70〜80平方メートルのアパートに国産車数台と控えめだが、2,000億ドルとなれば1ドル150円換算で30兆円、115円換算でも23兆円だ。ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏は、プーチン氏を「世界一の富豪」と指摘している。

ちなみに、アメリカの経済誌フォーブスの「2022年版 世界長者番付」によると、世界一の富豪はアメリカの実業家イーロン・マスク氏で、2,190億ドルだった。

ドナルド・トランプ氏でもプーチン氏の1.25%

プーチン氏は巨額の「隠し資産」を保有しているとの疑惑が絶えないが、その実態は明らかではない。プーチン氏の資産は、プーチン氏の友人が管理しているため、追跡が難しいとされている。

保有資産が2,000億ドルに上るとなれば、世界の首脳の中でもトップクラスだろう。不動産王として知られているアメリカの前大統領、ドナルド・トランプ氏でさえ、資産額は25億ドルと推定されている。これはプーチン氏の1.25%にすぎない。

プーチン氏の資産総額を日本の首相と比べると、まさに雲泥の差だ。岸田文雄首相の資産は、住宅や預貯金などを合わせても2億868万円と公表されている。日本の政治家の中でトップの麻生太郎・自民党副総裁でも6億1,417万円だ。

プーチン氏は世界トップクラスの大富豪か

ロシア大統領の年収だけを見れば、プーチン氏の収入は世界の首脳の中で突出しているわけではない。しかし、報道されている「隠し資産」の総額は世界の富豪の中でもトップクラスだ。これほどの資産の持ち主に、果たして経済制裁はどれほどの効き目があるのだろうか。

文・MONEY TIMES編集部

【関連記事】
サラリーマンができる9つの節税対策 医療費控除、住宅ローン控除、扶養控除……
退職金の相場は?会社員は平均いくらもらえるのか
後悔必至...株価「爆上げ」銘柄3選コロナが追い風で15倍に...!?
【初心者向け】ネット証券おすすめランキング|手数料やツールを徹底比較
1万円以下で買える!米国株(アメリカ株)おすすめの高配当利回りランキングTOP10!