夫婦で個別に銀行口座を持つ家庭は少なくない。共働きであれば、確実にそれぞれの銀行口座を持つことになるだろう。その場合に大切なのは、いざというときのためにパートナーの銀行口座の詳細を知っておくことだ。

パートナーの銀行口座を知っておくべき理由

夫婦のそれぞれが銀行口座を持っている場合、例えばパートナーが倒れて意識不明の状態が続いた場合などに、相手の口座の詳細が分かっていないと、病院やそのほかの支払いで困った事態になるかもしれない。

働いている夫だけが銀行口座を持ち、妻が口座を持っていないケース、あるいは妻が銀行口座を普段使っておらず残高がほとんどないケースなどでも、夫が倒れてしまうと困ったことになるかもしれない。ただ、実際のところはこのどちらのケースでも、夫の銀行口座から妻が日常的に生活費を引き出しているパターンが多いだろう。

いずれにせよ、さまざまなケースを想定すると、夫婦それぞれのお金は各自の銀行口座に持ちつつ、銀行名、口座番号、暗証番号、通帳・印鑑のありかは互いにシェアしておいたほうがいいのは確かだ。

病気やケガをしたときのことを考えると、加入している保険の内容や保険証券の場所を夫婦で共有しておくことも大切だ。

代理人キャッシュカードを作ろう

パートナーが倒れて意思疎通ができなくなった場合、例えば治療費の支払いなどで銀行口座からお金を引き出すのは道義的には許される行為といっていい。しかし、厳密には法的に問題のある行為だ。正規な手続きとしては、「成年後見制度」などで正式な代理人となる必要がある。

成年後見人制度には、あらかじめ本人が選んだ任意後見人を決めておく「任意後見制度」と、家庭裁判所で後見人を決める「法廷後見制度」がある。銀行口座のこと以外も含め、高齢になったときや何らかの原因で意思疎通ができなくなったときに有用な仕組みであるのは間違いない。

ただし、パートナーが倒れて意思疎通ができなくなった場合の銀行口座の扱いに関して、とりあえずすぐに対策したい場合は、代理人が預金者本人に代わりATMで入出金ができる「代理人キャッシュカード」を発行するといいだろう。

三井住友銀行の例でいうと、預金者本人が銀行窓口に本人確認書類と届出印、通帳またはキャッシュカードを持参して手続きすることで作成できる。

万が一の場合のほか、日常的な生活費の引き出しなどにも有用なので、夫婦で作り互いに持ち合っておくといいだろう。

家計簿アプリでマネー情報を共有

夫婦間のマネー情報の共有は、家計簿アプリにそれぞれの銀行口座を登録することもおすすめする。これにより、お金の出入りや残高を把握しておくと、万が一の事態が起きたときに方針を立てやすいからだ。

家庭の家計を総合的に把握しておくことは、夫婦間で節約の意識を高め合うことにもつながってくる。パートナーから常に見られているようで、息苦しく感じるかもしれない。しかし、その緊張感をうまく利用してマネーへの意識を高められれば、貯蓄へのモチベーションも育ってくるだろう。

パートナーのスマホもロック解除できるように

現在、多くの銀行で通帳レス化やカードレス化が進行している。クレジットカードのカードレス化や明細書などのペーパーレス化などもそれと同じ流れにある。

こうした新しい仕組みを利用する場合は、現物としての通帳やカードを持たないことになるため、万が一に備えるなら、夫婦間でスマホの指紋認証やパスワードの共有も図りたい。

スマホは個人情報のかたまりなので、たとえ夫婦であっても自由に見られることに抵抗のある人もいるだろう。しかし、万が一のときほど、夫婦が運命共同体として機能することが重要となる。

そうした事態下では、パートナーのスマホをロック解除できるかどうかが生死を決めることすら考えられる。そういうところまで想定した上で、一度、夫婦でマネー周りの準備をどう整えておくか、よく話し合っておくといいだろう。

文・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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