2022年10月から、政府による「全国旅行支援」が始まっている。旅行会社や航空・鉄道会社、自治体など観光関連事業はこの機会により力を入れ、利用者数や予約数も増加している。全国旅行支援を使いこなし、お得に旅行や観光を楽しむ方法に加え、注意点もまとめた。
「全国旅行支援」とは
全国旅行支援は、観光庁が実施する観光需要喚起策だ。2022年10月11日から12月下旬まで(東京都は10月20日から開始)、旅行代金の割引やクーポン券の配布などが行われる。2020年7〜12月の「Go To トラベル」以来、約1年10ヵ月ぶりの全国対象の観光支援策である。
◉全国旅行支援の概要
具体的な割引額などは、以下の通りだ。
旅行商品代金 40%割引 |
1人1泊当たりの割引上限額 | |
交通付旅行 | 8,000円 | |
その他 | 5,000円 | |
クーポン券の配布 | 平日 | 3,000円分 |
休日 | 1,000円分 |
◉予約殺到も?コロナ禍からの回復へ
観光事業は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国内外の観光客が激減するなど一時期深刻な落ち込みを見せた。今回の全国旅行支援の実施を受けて、観光業の景気回復に期待が寄せられている。
旅行者は増加する見込みで、ホテルに予約が殺到したり、旅行会社の公式サイトではアクセスが集中しつながりにくくなったりしたケースもある。プランや対象都道府県によっては、開始から約1週間で予約上限に達した例もある。
お得な使い方は?各種キャンペーンを紹介
全国旅行支援を機会に、旅行会社や航空会社、鉄道会社や自治体などが多様なプランやキャンペーンを企画している。具体的にどのようなものがあるのか、事例を紹介する(予約受付数が上限に達している場合など、すでに申し込みを停止している可能性もある)。
◉キャンペーン併用が可能な旅行会社も
旅行会社大手のJTBでは、全国旅行支援の期間中に合わせて使える「秋旅クーポン」を実施し、最大5,000円引きになる。楽天トラベルでも、1,000円割引など独自のクーポンと併用が可能だ。じゃらんやYahoo!トラベルも、一部のキャンペーンを適用できる。旅行会社独自の割引と合わせることで、よりお得になる場合がある。
◉航空会社・鉄道会社のパッケージ
全日本空輸(ANA)では、出発空港や宿泊地を限定した「ダイナミックパッケージ」と全国旅行支援の割引を併用できる。例えば、到着空港が富山県、宿泊地が富山県内となる「富山きときと空港ご利用キャンペーン」などがある。
「鉄道開業150年記念JR東日本パス」では、大人2万2,150円、子ども1万150円(税込)で2022年10月14日から27日までの連続した3日間、JR東日本全線や第三セクターの鉄道路線の普通列車と特急・新幹線の普通車自由席などが乗り放題になる。事前に座席指定すれば、指定席も4回まで乗車可能だ。駅構内の売店やレンタカーなどで、割引や特典が受けられる。
◉自治体独自の上乗せサービスや助成も
全国旅行支援の割引やクーポンに、各都道府県が独自のサービスなどを上乗せするケースも多い。例えば、石川県の「いしかわ旅行割キャンペーン」では、宿泊客に県の特産品を抽選でプレゼントする。高知県や福井県では、交通費用を割引する。各市町村も独自の企画を実施している。
東京都では、都民が都内を旅行する場合を対象にした「もっとTokyo」で、宿泊は1泊5,000円、日帰りでは1回2,500円の助成を受けられる。
制度をうまく使うポイント
さらに、「平日」「休日」のクーポン価格の違いや、人数に応じて割引が受けられる点など、制度を効果的に利用したい。
◉日曜も「平日」扱い
宿泊旅行の場合は、宿泊する日と翌日がいずれも土日祝日である場合のみ「休日」として扱われる。つまり、日曜に宿泊しても翌日が平日の月曜日であれば「平日」扱いとなり、3,000円分のクーポンがもらえる対象だ。実施期間中、11月3日(文化の日)と11月23日(勤労感謝の日)は土日と連続しないため、祝日の前後に宿泊しても平日扱いになる。
◉乳幼児も「1名」として対象に
ホテルなどでは、子どもや赤ちゃんは利用料金が低く設定されているケースもある。しかし、全国旅行支援の対象は年齢を問わないため、割引では乳幼児も「1人」としてカウントされる。クーポンも対象になるため、例えば両親と赤ちゃん、子どもの家族4人で平日に宿泊すれば4人分で1万2,000円分のクーポンをもらえる。
全国旅行支援利用の注意点
全国旅行支援を利用するために、気をつけておきたい点を挙げる。
◉コロナワクチン接種または陰性証明書が条件
全国旅行支援では、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、身分証明書とともに新型コロナワクチン接種3回以上、もしくは陰性証明書の提示が条件となっている。ただし、12歳未満は不要だ。
◉「Go To トラベル」との違い
「Go To トラベル」では、全国を管轄する事務局が管理を行っていた。しかし全国旅行支援では、各都道府県が事業を実施している。今後の停止や延期も都道府県知事の判断になる。
Go To トラベルでは旅行する都道府県だけでなく、隣接県でもクーポンが使えた。ただ、全国旅行支援の「地域クーポン」は、発行された都道府県のみの利用となるので注意が必要だ。
再び活気づく観光産業、日本の魅力再発見へ
コロナ禍では、国内外の旅行を控えていた人も多いのではないか。一時期は深刻な落ち込みを見せた観光産業も全国旅行支援の実施を機会に、活気を取り戻しそうだ。全国へ足を運び、まだ知らない国内の魅力を発見できるかもしれない。
感染対策には十分気をつけた上で、旅を楽しみたい。
文・MONEY TIMES編集部
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