有料道路の料金所をスムーズに通過できるETCは広く普及しており、最近では一般レーンを通るクルマのほうが少ないくらいだ。そのETCには従来型のほか上位互換バージョンとしてのETC2.0が存在するが、お得度ということではどちらが上なのだろうか?

ETC2.0の双方向通信で何ができる?

旧型と新型では多くの場合、後者のほうが多機能でありETCもそれは同様だ。従来型のETCにはないETC2.0の諸機能の核となっているのが双方向通信機能で、それによりクルマに設置した車載器で交通情報を受信できる。

それらは、料金所のノンストップ通過に加えて、クルマ移動をさらにスムーズにする機能といっていいだろう。料金所通過のほか具体的には次のような機能がある。

渋滞回避支援

「この先、○○ICを頭に〇キロの渋滞が発生しています」などのアナウンスが車載器から流れる。

安全運転支援

「この先、落下物により左車線規制中です。注意して走行してください」などのアナウンスが車載器から流れる。

災害時の支援

「地震発生、後方を確認しハザードランプをつけて、ゆっくり左側に停車してください」などのアナウンスが車載器から流れる。

高速道路からの一時退出可能

対象インターチェンジにおいて、道の駅など指定施設への立ち寄りを目的に退出した場合、1時間以内に同じインターチェンジから再度入ることで高速道路を降りずに利用した場合と同じ料金となる。

ETC2.0の独自機能はスマホ登場で出番がなくなった

ほとんどの人はクルマにETCを設置する際、購入・取り付け・セットアップ(車載器への車両情報登録)まで一括してカー用品店などで行うだろう。そのすべてを込みにした場合、従来型ETCでは1万5000円前後が相場で、ETC2.0では2万5000円前後が相場となる。後者ではカーナビ連動型などさらに高額なものもあるが、ETC2.0の基本的な機能だけを備えた車載器で考えるなら、ここに挙げた金額が目安となるだろう。

つまり初期投資としてはETC2.0のほうが1万円ほども高額につくことになる。もちろん、ETC2.0の機能を存分に使いこなし、それをメリットとして感じられるなら、この価格差も何ということはない。

しかし、多くの人がスマホを持つこの時代にあって、ETC2.0の「渋滞回避支援」「安全運転支援」「災害時の支援」といった機能の必要性は低い。スマホのナビアプリなどで十二分に用が足りてしまうからだ。

また、「高速道路からの一時退出可能」という機能についても、どうしても寄りたい道の駅などがある場合を除き、ちょっとした食事や買い物、トイレなどはサービスエリアで十分に対処できるため特に必要なものではない。

圏央道利用者ならETC2.0が圧倒的にお得

ただし、ETC2.0についてはまだ説明していない機能があり、それが圏央道の利用が約2割引になる割引サービスの適用だ。つまり、普段から圏央道を利用している人にとっては、ETC2.0は圧倒的にお得ということになる。車載器取り付け時の1万円の価格差もすぐに回収できるだろう。

逆に、圏央道をほとんど使わない人は従来型ETCで十分であり、車載器取り付け料金が安い分だけこちらのほうがお得ということになる。圏央道の利用の有無によって、従来型ETCがお得か、ETC2.0がお得なのか違ってくるということだ。

近い将来、一部のETC車載器が使えなくなる?

近い将来、一部のETC車載器が使えなくなるという話についても触れておこう。これは、ETCの決済情報の保護のため新たなセキュリティ規格を導入することに伴うもので、具体的な時期は未定だが2030年頃までには規格変更を行い、新セキュリティに対応していない車載器は使えなくなる。

ただし、これは従来型ETCの車載器が使えなくなるという話ではない。従来型ETCであれETC2.0であれ、ETCのロゴの下にある3つの白丸が目印となっている新セキュリティ対応機種であれば、規格変更後も変わらず使いつづけられる。

ETC車載器の購入に際しては、ETCかETC2.0かという選択肢のほかにこのことについてもよく留意しておきたい。

文・モリソウイチロウ

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