政府は本気で金融緩和をしているのか?

中国政府もやっと重い腰を上げて、法定準備率を引き下げて銀行が融資をしやすくするといった手を打ち始めました。

ただ、どこまで本気で金融緩和によって景気拡大を図っているかとなると、怪しいものです。

つい最近も、「米中の10年国債の金利を比べると、中国よりアメリカのほうが高くなった」と言って、政府が積極的な金融緩和策に踏み切った証拠だとする見解を見かけました。

でも、実際には中国の10年債金利が横ばいだったのに、アメリカの10年債金利が急騰したので、結果として中国のほうが低くなっていただけのことです。

中国はいったいどうなってしまったのか?
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

どうやら中国政府首脳には、不動産業界全体が奈落の底に引きずりこまれそうな局面なのに、もっと優先すべき課題があるらしく、あまり真剣に経済・金融政策に取り組んでいないフシが見受けられます。経済・金融より大事なことって、いったいなんでしょうか。

今ごろになって上海全市をロックダウン?

私は、世界中でコロナ騒動も賞味期限切れになりつつあるこの時期に、上海で感染が蔓延して人口約2500万人の大都市を全市ロックダウンするという大騒ぎになったことにそのヒントがあると思います。

中国はいったいどうなってしまったのか?
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

なるほど、もしこれまでのデータが正直なものだったとすれば、今年3月末からの感染者数は激増です。

でも、現在感染者数の圧倒的多数を占めているオミクロン株は、伝染性が高いけれども致死率は低いことが多くの国で確認されました。

そして、「オミクロンは軽症の感染者を増やして自然免疫を高めることによってコヴィッド-19騒動を終結に向かわせてくれるのではないか」と言われているのです。

そのオミクロン株中心の感染蔓延、しかも上海市が中国全体でいちばん感染者数が多く出たと言っても1日当たり約2600人で、人口の1万分の1程度でした。

これが、全市民を自宅内で軟禁状態にするほど大げさな対策を必要とする事態でしょうか?

しかも、コロナ騒動勃発当時には「果断な措置で大規模感染を防ぎ止めた」と賞賛する向きもあった中国政府の防疫対策が、上海では不手際が目立ちます。

たとえば、「上海市内の高齢者介護病院から明らかに遺体を搬出する霊柩車が出た」という噂が出てから、2~3日のあいだ上海市当局は何もしませんでした。

噂に尾ひれが付いて広まるのを待っていたかのように、あとから「上海市で初のコロナ犠牲者が3名出たが、3人とも他に病気を持っていて、その症状が悪化したために亡くなった」という公式発表をしています。

あるいは、次の写真をご覧ください。

中国はいったいどうなってしまったのか?
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

上海市では、病院への酸素ボンベの搬送さえトラックを使ってはいけないことになっているのでしょうか。そうだったとしても、白昼目立つところでわざわざ「酸素吸入をしなければならない患者が増えていますよ」とでも宣伝するような運び方をする必要はないでしょう。

上海市の市政なり、そこに大きな影響力を持っている勢力を失脚させようとする意図が働いているのではないでしょうか。