不動産部門はとくに過大に評価されている

とくに諸外国と比べて異常に国民経済に占める比重の高い不動産部門で累積している不良資産は、正直に洗い替えしたらどこまで減価するか、想像もつきません。

中国はいったいどうなってしまったのか?
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

これまで、不動産業界がGDPの25%超となったのは、ユーロ圏に入って低利で金が借りられるようになって不動産バブルが起きたときのスペインだけでした。

日本の株価・地価バブルの頂点だった1980年代末でも、不動産業界の比重はそこまで上がっていません。

ところが、中国では不動産業界がGDPの25%以上を占めるようになってから、もう10年以上経っています。

しかも、この高さは住宅があまりにも割高に評価されていることと密接に関連しています。

中国はいったいどうなってしまったのか?
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

中国は、アメリカの5倍近い人口を擁しながら、名目GDP総額ではやっとアメリカの7割程度に追いついたところです。

しかし、現存する住宅ストックの評価額を比べると、中国にはすでにアメリカの3倍近い評価額の住宅ストックが存在することになっているのです。

中国はいったいどうなってしまったのか?
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

アメリカの住宅ストック評価額はGDPの約1.7倍です。中国の評価額は約7倍です。どちらがおかしいかといえば、どう考えても中国のほうでしょう。

ふつうの市場経済の国で、住宅ストックの評価額がこれほど舞い上がってしまったら、いつか評価が下がることは間違いないにしても、国民経済に大きな影響が出ないように、腫れものに触るように慎重に扱うでしょう。

中国政府は大手不動産企業を潰そうとしている

ところが、中国政府は去年の半ばぐらいから、どうも意図的に大手不動産開発企業を潰しにかかっているようです。

かつて「世界最大の債務をしょった不動産会社」と呼ばれていた中国恒大集団の場合など、必死に金策をして債務不履行を逃れようとしている最中に、過去の建築許可申請に虚偽があったとして、施工中の物件の解体処理を命じられたりしています。

恒大だけではなく、中国政府に睨まれてドル建て社債の元利支払いに支障を来たす不動産会社が続出しています。

その結果、最大の被害を受けるのは、こうした不動産開発業者から物件を買ってしまった消費者です。

中国はいったいどうなってしまったのか?
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

日本でも、一時「スケルトン渡し」といって、開発業者は躯体工事までを受け持ち、台所、浴室などの設備は買い手が自分で選んだものを取り付ける分譲物件が話題になりました。

中国の場合、設備まで全部開発業者に任せるととんでもない手抜き工事、欠陥工事の物件をつかまされることが多いので、消費者側の自衛手段としてスケルトン渡しが普及しています。

しかし、窓枠はあっても窓自体が入っていない、床も壁も天井もコンクリート打ちっ放しというのは、工事続行資金がどう頑張ってもひねり出せない開発業者の居直りとしか言いようがないでしょう。

しかも、こうした物件がどうやら中国全土で、1省当たり100件単位で数えるほど出てきているのです。

中国はいったいどうなってしまったのか?
(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)

河南省はひときわ丸が大きいので、おそらく400~500件こうした物件をつかまされて往生している消費者がいるのでしょう。