ボディビルダーと卵のイイ関係

筋発達を目指すなら卵は1日何個まで?
(画像=『FITNESS LOVE』より引用)

ボディビルダーと卵の付き合いは非常に長い。卵を原料にしたエッグプロテインに牛乳を入れてシェイクしたものが飲まれた時代もあったし、牛乳に卵を割って入れたシェイクだってある。先にも述べたとおりビンス・ジロンダは、ボディビルダーの食事には卵を摂ることを勧めていた。ただし、それは生卵に限定されていたのだが、ジロンダの発想は常に時代の最先端を行くものが多く、時には科学が彼を追うこともあったぐらいだ。
実際、当時のボディビルダーたちの間では、科学的な根拠や知識について情報交換されることなどほとんどなかった。そんな時代にビンス・ジロンダは、筋発達とアミノ酸の関係についてよく語っていたものである。筋発達をできるだけ短期間で確実に得たいなら、卵を毎日36個食べろとジロンダはクライアントたちに指示していたそうだ。もちろん、それはいくら何でも多すぎるだろうが、要はそれくらい卵は筋発達に貢献する食材だということなのだろう。
昔のボディビル界にはサプリメントと呼べるものなどほとんどなく、ましてやステロイドなどの薬物を使う者もいなかったはずだ。にもかかわらず、ジロンダの指導を受けて見事なまでに筋量を増やし、バリバリに絞り上げたボディビルダーたちが大勢いたのだ。
例えば初代ミスターオリンピアのラリー・スコット、伝説のボディビルダーに名を連ねるドン・ハワースらは、ビンス・ジロンダに指示された食事法で一気に肉体改造に成功した。アーノルド・シュワルツェネッガーもジロンダの指導を仰ぐために、ベニスのゴールドジムでトレーニングをする前はスタジオシティにあったビンス・ジロンダのジムでワークアウトを行っていたのだ。ちなみに、当時のアーノルドも毎日1~2ダースの卵を食べていた。
ジロンダがクライアントたちに「毎日36個の卵を食べろ」と言ったのは、それがダイアナボールの軽めのサイクルを実践したのと同じ効果を生むと信じていたためだ。ダイアナボールはステロイド薬であり、大量の卵を食べることで薬物に近い効果が得られるとは思えないが、少なくともジロンダはそう信じていたようだ。こういったことは誇張されて現代まで伝わってきたことかもしれないし、第一、そこまで大量の卵を食べることを推奨しようとは思わない。それでも1日に6~12個の卵なら現実的に食べられる量と言えるだろう。
だたし、すでに高脂血症やコレステロール値が高い人、あるいは循環器系に問題がある人は、必ず医師の診断を受けたり、小まめに健康診断を受けるようにしほしい。

卵とテストステロンの関係

卵にアナボリックな働きがあることは間違いないようだ。実際、卵をよく食べることで体内のテストステロン値を高めることができるとされている。これまでの研究で、動物性の飽和脂肪にはテストステロンを上昇させる作用があることが示されているのだ。
ある実験では、被験者に低脂肪の食事を摂ってもらったところ、体内のテストステロン値が低下するという結果が得られている。これと同じような結果になった実験は数多くあり、そのいずれもが、血中に溶け込んでいるフリーテストステロンを低脂肪食が低下させると結論付けている。
フリーテストステロンとは、結合していない状態の活性力のあるテストステロンのことだ。高強度トレーニングを行い、筋発達に励むボディビルダーにとって、フリーテストステロンの低下は決して望ましいことではないのだ。ここで、どうしても気になってしまうのが、36個の卵がダイアナボールと同等の効果をもたらすと言ったビンス・ジロンダの言葉だ。果たして本当だろうか。
おそらく、これについての答えはノーだ。それでも、卵を食べることで体内で作り出されるテストステロンが活性化されることは間違いない。そして、それは筋発達を促し、体脂肪の減量を促してくれることが期待できる。 たとえ卵がダイアナボールの代わりにならないとしても、ビンス・ジロンダがクライアントに勧めた卵の食べ方に興味があるなら、表の方法で試してみてはいかがだろうか。
また、1950年代、1960年代から活躍し始めたラリー・スコットやドン・ハワース、ビル・パール、アーノルド・シュワルツェネッガー、その他大勢のチャンピオンたちはジムでもキッチンでも、手に入れられるもの、その場に用意されたものだけを使って究極の肉体を完成させていた。
サプリメントがなくても様々な食材を利用した。特に牛乳と卵は彼らにとって欠かせないものであった。ビル・パールはベジタリアンで、肉を食べなくても筋発達は可能であることを証明したが、彼は乳卵菜食者だったので、卵と牛乳は容認していた。そのためビル・パールは卵や牛乳をふんだんに利用し、様々な野菜を食べてパワフルな身体を手に入れたのである。