2021年度の国内ポイント市場規模は、ポイント発行額基準で2兆円余り。 「ポイ活」という言葉が定着しているように、ポイントを多く獲得できることが買い物する店を選ぶ基準になっている人は多いのではないだろうか。

しかし欧米では、買い物によるポイント還元は日本ほど一般的ではない。ここでは、日本と欧米とのポイント事情を比較し、日本のポイント市場が大きい理由を探る。

2021年度のポイントサービス市場規模は2兆1,001億円

2019年度、国内のポイントサービス市場規模は、ポイント発行額基準で2兆円を突破し、2021年度には2兆1,001億円に達した。「ポイント発行額」は、消費者のサービスや商品の購入・利用などに対して民間企業などが発行するポイントやマイレージなどに加え、マイナポイントのように行政が発行するものも含まれる。

日本国内でポイントサービスが広く普及するきっかけとなったのは、約30年前に家電量販店のヨドバシカメラが「ゴールドポイント」を導入したこととされる。さらに、2003年にはレンタルビデオ店「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブが、会員証の「Tカード」を提示すれば、自店以外の提携店舗でもTポイントを使ったり貯めたりできるサービスを開始。いわゆる「共通ポイント」の先駆けとなった。

現在は、Tポイントや楽天ポイントなどの「共通ポイント」が主流となっており、提携店舗はもちろん、提携するオンラインショップでも使えるようになっている。また、小売や飲食だけでなく、電気やガスの支払い、交通機関の利用など共通ポイントが利用・獲得できるシーンは広がっている。

トレンドは「マルチポイントサービス」

現在、ポイントサービスのトレンドは、ひとつの店舗で複数のポイントサービスが利用できる「マルチポイントサービス」だ。Tポイント・楽天ポイント・dポイント・Pontaポイントといった共通ポイントをはじめとする、多くのポイントサービスの中から利用者が貯めたいポイントを選ぶことができる。

さらには、自店が独自で導入するポイントと共通ポイントを一度に付与する「二重取り」ができる店舗も増えている。

生活防衛手段としての「ポイ活」

買い物などでポイントを貯めて活用する「ポイ活」=ポイント活動という言葉がここ数年、主婦を中心とする消費者の間で定着している。ポイントを二重取りするコツや、現金への還元率が高いポイントなどが雑誌やネット記事で紹介されることも多い。

ポイ活がクローズアップされている背景には、銀行などに貯金しても利息が増えず、賃金も伸びない状況の中、生活防衛手段として消費者に支持されていることが挙げられる。株式投資や投資信託などの投資には手が出せないが、日々の生活の中でコツコツポイントを貯めることなら気軽にチャレンジできそうと考える人が多いのだろう。最近では、貯めたポイントを使って少額投資ができるサービスを提供するポイント事業者も増えている。

ポイントサービスは消費者に「お得感」を感じさせるだけでなく、企業にとっても有益だ。企業側がマルチポイントサービスなどのサービスの拡充に力を入れるのは、「商品やサービスの価格は少し高くても、ポイント還元率が高いなら利用する」という消費者心理をうまく利用できるからだ。

欧米ではポイント付与よりもロイヤルティプログラムに注力

日本では、消費者に広く浸透しているポイントサービスだが、実は欧米ではポイントサービスよりも各企業独自の「ロイヤルティプログラム」が主流である。ロイヤルティプログラムとは、購買履歴などから個々の消費者の購買行動を分析し、個別にセールやキャンペーンなどを提供するものだ。

ロイヤルティプログラムを提供する企業が目指すのは、顧客に「お得感」を与えるのではなく、顧客と継続的な関係を築くこと。

欧米でロイヤルティプログラムが主流となっている一因に、ニーズの多様性が挙げられる。さまざまな民族で構成されているため、自分のニーズと合っているものを提供してくれることに価値を置く傾向にあるのだ。

2015年には、アメリカの大手クレジットカードが共通ポイントサービスを導入したものの、あまり活用されていないという。

2026年度の国内ポイントサービス市場規模は2兆5,000万円超と予測

(株)矢野経済研究所によると、国内のポイントサービス市場規模は、2026年度には2兆5,000万円超になると予測されている。オンラインショップ・実店舗はもちろん、公共料金や公共交通機関、医療費の支払いなど、ポイントを貯めたり使ったりするシーンは年々広がってきたが、今後はポイントを活用した寄付や応援などの取り組みも進むとみられる。

また、マルチポイントサービスの傾向は今後も続き、ポイントサービスの市場規模は当分拡大を続けるだろう。

文・はせがわあきこ

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