仮想通貨取引サービスを手掛けるコインチェックに関し、2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)における第1四半期(4~6月)の営業収益は31億6,200万円だった。前年同期の127億3,900万円と比べて約75%の減益で、なぜこうも急減したのか。

2018年の流出事件からマネックス買収で息吹き返す

コインチェックと聞くと、2018年1月に起きた仮想通貨流出事件を思い出す人もいるかもしれない。流出額は、約470億円を消失させた2014年の「マウントゴックス事件」を上回る約580億円だった。

コインチェックはその後、インターネット証券大手のマネックスグループに買収され、息を吹き返した。今や15種類以上の仮想通貨を取り扱い、国内の仮想通貨取引所としては最大級だ。

「それほどの流出事件を起こしていながら、なぜ生き延びているのか」と憤りを覚えている人は、今回の営業収益急減で多少なりとも留飲を下げる思いをしたかもしれない。

仮想通貨売買代金は2兆円から9,000億円に減

コインチェックの営業収益が急減したのは、仮想通貨の取引量減少に伴い、主力のトレーディング損益が大幅に縮小したからだ。

2022年3月期の第1四半期は、トレーディング損益が121億7,100万円のプラスだった。しかし、今期は前年同期から98億2,800万円利益が減り、23億4,300万円のプラスである。

仮想通貨の取引量減少は、コインチェックの取引所・販売所の売買代金を見れば明らかだ。前年同期は取引所と販売所を合わせた売買代金が2兆882億円に上ったのに対し、今期は9,242億円と50%以上減った。

登録口座数が増えているにもかかわらず売買代金が減少しているのは、2022年に入ってから仮想通貨の価格が低迷しているためだ。2021年11月に777万円の最高値をつけたビットコインは、2022年8月27日時点で279万円と、60%以上減少している。

原因としては、インフレに伴いアメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めにかじを切ったこと、また法定通貨と連動するステーブルコインのTerra(LUNA)が暴落したことなどが挙げられている。

仮想通貨取引の再活性化は見通せず

FRBの金融引き締めがいつ終了するかは予断できず、仮想通貨取引が再び活発になる見通しは立っていない。コインチェックが営業収益を回復するには、仮想通貨取引以外の事業基盤も必要になりそうだ。

文・MONEY TIMES編集部

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