有名企業の多くが上場企業である一方、サントリーやロッテなど、誰でも知っている大企業でもあえて上場を選択していないケースもある。上場は企業にさまざまなメリットをもたらすが、一方で上場によりデメリットも少なからず抱えることになるからだ。

上場していない有名企業

上場していない有名企業を企業名だけ挙げると、以下のような企業がある。なお掲載する一部の企業については、親会社や関連会社が上場している場合もある。

・ダイソー(大創産業)
・JTB
・佐川急便
・竹中工務店
・サントリー
・小学館
・ダイハツ工業
・大塚家具
・オンキヨー
・ワタベウェディング
・東京ドーム

これらの企業を「元々上場していない企業」と「過去に上場していた企業」に分類すると、以下の通りとなる。

<元々上場していない企業>
・ダイソー(大創産業)
・JTB
・佐川急便
・竹中工務店
・サントリー
・小学館

<過去に上場していた企業>
・ダイハツ工業(2016年7月27日上場廃止)
・大塚家具(2021年8月30日上場廃止)
・オンキヨー(2021年8月1日上場廃止)
・ワタベウェディング(2021年6月28日上場廃止)
・東京ドーム(2021年4月23日上場廃止)

企業があえて上場しない3つの理由

資金調達の必要がない

上場すると企業の株式を一般投資家が購入できるようになり、企業にとっては資金調達の手段となる。しかし、その企業がすでに潤沢なキャッシュ(現金)を保有している場合は、新たに資金調達をする必要性があまりない。

買収リスクを避けるため

上場して自社株を誰でも売買できるようにすると、買い占めのリスクが生じる。一定比率以上の買い占めが行われると経営権を奪われ、最終的にその企業が買収される可能性も出てくる。そのリスクを避けるために、あえて上場を選択していないケースは多い。

意思決定を迅速にするため

株式会社の経営に関わる重要事項は、株式総会の決議を必要とする。これは非上場企業であっても同様だが、上場企業だと株主の数は圧倒的に増え、新たに誕生した大株主などと意見が食い違うケースも出てくる。そのため、意思決定のスピードが遅くなる懸念が生じる。

日本では親子上場する企業も珍しくない

親子上場とは、親会社と子会社がともに上場していることを意味する。日本では、ソフトバンクグループなども親子上場しており、珍しいことではない。

一方、海外に目を向けると、欧米では親子上場は珍しいとされる。少数株主の利益が損なわれるおそれがあるとして、親子上場に対しては海外投資家からの批判が根強い。

子会社の少数株主からすれば、大株主の親会社の立場が圧倒的に強く、少数株主の意見や権利が軽視されかねないとの危惧が残る。

不採算部門の押し付けや子会社の利益の付け替えが行われれば、コーポレート・ガバナンス上、問題だ。

上場企業=優良とは限らない

上場にはメリットもあるがデメリットもある。誰もが知る有名企業でも自ら上場を選択していない企業があることも納得いただけたかと思う。

就職や転職を考える際も、上場企業だから良いという先入観に捉われず、広い視野を持ちさまざまな角度から企業を分析すると良いだろう。

文・MONEY TIMES編集部