「え、あの企業って上場していないの?」

ダイソー、星野リゾート、佐川急便、サントリー……誰もがよく知る有名企業でも実は上場していないケースが結構ある。あなたは、こうした企業を何社挙げられるだろうか?

そもそも「上場」とは?

そもそも「上場」とは、どのような意味があるのだろうか。日本証券業協会によると上場制度は「株式会社が発行する株式や債券等を証券取引所で取引するための制度」と説明している。つまり株式の場合は、東京証券取引所などで取引開始されることがわかるだろう。証券取引所に上場するためには、一定の基準を満たすことが必要だ。

たとえ上場基準を満たしていたからといっても、必ず上場する必要はない。なぜなら上場には、メリットもあるがデメリットもあるからだ。

上場のメリットとデメリット

上場のメリットとデメリットを整理すると、以下の通りだ。

<上場のメリット>
・IPO(新規株式公開)によって、新たに株式を発行して売り出すことで資金調達ができる
・上場で企業としての信用度や知名度が飛躍的に向上する
・知名度や信用度が上がったことが採用活動に有利に働き、優秀な人材を確保しやすくなる

<上場のデメリット>
・株式の売買が公開市場で自由に行われ、株式の流動性が高まるため、買収される可能性がある
・上場すると新たに発行した株式を保有する株主が増え、それらの株主の意向にも配慮した経営が求められる
・一度上場すると「上場廃止」はネガティブなイメージを生むため、上場維持基準を満たし続けなければならない

つまり上場した場合は、資金調達や信用度、採用活動に有利に働くといったメリットが期待できるが、経営の足かせが増えるデメリットもあるのだ。

有名企業でも上場していない主な理由

先述した通り、上場すれば資金調達や信用度、採用活動に有利に働くが、一方で経営の足かせが増える。そのため逆にいえば「資金調達の必要がない」「信頼度がすでに高い」「採用活動で優秀な人材を確保できている」といったケースでは、あえて上場をしないことも選択肢の一つだ。この点が上場していない有名企業がある背景といえる。

一方で過去に上場していたが、自ら上場を取りやめたり、上場基準を維持できずに上場廃止になったりしたケースもあるだろう。ここからは、具体的に上場していない有名企業を挙げ、その背景にも触れていく。

上場していない有名企業11社

上場していない有名企業を企業名だけ挙げると、以下のような企業がある。なお掲載する一部の企業については、親会社や関連会社が上場している場合もある。

・ダイソー(大創産業)
・JTB
・佐川急便
・竹中工務店
・サントリー
・小学館
・ダイハツ工業
・大塚家具
・オンキヨー
・ワタベウェディング
・東京ドーム

これらの企業を「元々上場していない企業」と「過去に上場していた企業」に分類すると、以下の通りとなる。

<元々上場していない企業>
・ダイソー(大創産業)
・JTB
・佐川急便
・竹中工務店
・サントリー
・小学館

<過去に上場していた企業>
・ダイハツ工業(2016年7月27日上場廃止)
・大塚家具(2021年8月30日上場廃止)
・オンキヨー(2021年8月1日上場廃止)
・ワタベウェディング(2021年6月28日上場廃止)
・東京ドーム(2021年4月23日上場廃止)

元々上場していない企業:大創産業やJTB

証券取引所に一度も上場したことがない企業としては、100円ショップ「ダイソー」を運営する大創産業、旅行代理店大手のJTB、物流大手の佐川急便、ゼネコン大手の竹中工務店、飲料大手のサントリーなどが挙げられる。各社の競合について見てみるとダイソーと同じ100円ショップを展開するキャンドゥやセリアは上場済みだ。

JTBのライバルである旅行代理店のHISも上場企業の一つである。竹中工務店のように大手ゼネコンと呼べる企業は、日本に5社あるが竹中工務店以外の4社(清水建設・大林組・大成建設・鹿島建設)はいずれも上場会社だ。ちなみにサントリーに関しては、サントリー自体は上場していないが、サントリーの清涼飲料部門の子会社であるサントリー食品インターナショナルは上場している。

出版大手の小学館も未上場だ。実は、出版・マスコミ業界は有名企業でも上場していないケースが珍しくない。特に新聞社は、報道の公正性を保つ意味もあり、有名企業であっても上場を選択しない。

過去に上場していた企業:ダイハツ工業や大塚家具

・ダイハツ工業
・大塚家具
・オンキヨー
・ワタベウェディング
・東京ドーム

ダイハツ工業は2016年、トヨタ自動車の完全子会社となったことから上場廃止となった。大塚家具も家電大手ヤマダホールディングスの完全子会社となり2021年8月に上場廃止。また東京ドームも三井不動産の子会社となり2021年4月に上場廃止となった。経営不振によって上場廃止を余儀無くされた企業としては、オーディオ機器大手のオンキヨーや婚礼大手のワタベウェディングなどがある。

オンキヨーは2021年8月、ワタベウェディングは2021年6月に上場廃止となった。

まだまだたくさんある非上場の有名企業

本記事で挙げた以外にも、上場していない有名企業はたくさんある。興味がある人は、自ら調べてみてはいかがだろうか。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

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