回転寿司大手の「くら寿司」が10月1日から、全国の店舗で1皿の最低価格を110円から115円(いずれも税込)に値上げする。水産物の仕入れ価格やエネルギー価格の高騰、止まらない円安の影響を受けたもので、今後もこの状況が加速すれば、「1皿200円」時代も到来するかもしれない。
「100円寿司(税抜)の看板下ろす
くら寿司では、税込110円の商品が約60種類ある。このうち、「極み熟成まぐろ」や「サーモン」などの約50種類を115円に値上げする。「オニオンサーモン」や「鉄火巻き」「真たこ」などの6商品は110円から165円とする。一方、220円だった18種類の商品は165円に値下げすることでバランスを取る。
値上げ理由について、田中邦彦社長は9月7日の記者発表会で「終わりの見えないコスト高騰は企業努力だけでは乗り切れず、価格改定が不可欠と判断した」と説明した。くら寿司は1977年に創業し、当時から「100円寿司」(税抜)を看板に掲げてきた。これまで、値上げの危機に直面しても企業努力で看板を守ってきたが、今回は乗り越えられなかった。それほどに現在の物価高騰・円安の波は大きいということだろう。
止まらない値上げラッシュ
回転寿司業界に限らず、食品全体が値上げラッシュだ。9月1日に値上げした主な品目は次の表の通りだ。このほか、10〜11月に値上げを控える商品も多く、また、一度の値上げでは追いつかず、再値上げに踏み切る企業もある。
企業名 | 品目 | 値上げ幅 |
---|---|---|
サントリー ホールディングス |
輸入ワイン | 平均8% |
エスビー食品 | 即席ルウや パスタソース製品など |
5〜15% |
カルビー | ポテトチップスなど | 5〜20% |
プリマハム | ハム・ソーセージなど | 家庭用5〜20% |
マルハニチロ | 缶詰 | 5〜25% |
UCC上島珈琲 | レギュラーコーヒー | 7〜20% |
日新製粉ウェルナ | 家庭用冷凍食品 | 9% |
家計への負担増
円安は加速の一途をたどる。9月7日の東京外国為替市場では1ドル=144円台を記録し、1998年以来の円安水準を更新した。日本国内の物価高は止まらず、消費者はさらなる負担を強いられそうだ。
最大手の「スシロー」も、10月から1皿110円(税込)のメニューを120円に引き上げるなど、回転寿司業界に値上げの動きは広がっている。今後、再値上げがあれば「1皿200円」時代も来るかもしれない。
文・MONEY TIMES編集部
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