2021年10月31日の『若者100人と衆院選挙の夜に考える「格差を解決する方法」(選挙ステーション2021)』で、実業家の平原依文氏が「学歴中心の履歴書から経験中心の履歴書へ」と発言したことがネットで反発を招いて炎上した。その理由について考察してみた。

女性起業家の「経験重視」発言がネットで炎上!なぜ?

炎上した「学歴中心の履歴書から経験中心の履歴書へ」発言は、「若者の格差を解消する方法」についての平原氏の意見。要約すれば「学歴重視より経験重視へ」という意味だ。

その発言にあたって、平原氏は以下のような疑問を呈した。

「日本ではよい大学を出てよい企業に就職するのが高収入につながる。しかし、そこから外れた人は失敗者とされて収入が下がる。それは本当に当たり前のことなのか?学歴を重視しすぎでは?」

そのうえで、

「人を評価する基準は学歴ではなく、個々が持つ独自の経験であるべき。それによって頑張りが報われて格差がなくなるのではないか」

との持論を述べた。

しかし、そんな平原氏の発言に多くの人が反発。「経験重視はかえって格差を広げる」「金持ちの子でないと成功できなくなる」などの意見が相次ぎ炎上に至った。

経験重視発言が「格差を広げる」と炎上した理由

平原氏の経験重視発言が「格差を広げる」と炎上した理由の一つに「経験にはお金がかかる」ことが挙げられる。その典型的な例が経験重視で合否判断を行うアメリカの大学入試だ。

アメリカの大学入試で特に重視されるのはボランティアやスポーツなどの課外活動。そこで身に着けた社会貢献に役立ちそうな能力(知識、スキル、社会性など)が合否を分ける重要な評価基準となる。

しかし、課外活動にはそれなりに費用がかかるので、費用を用意できない貧乏な家の子は参加自体が難しい。逆に、金持ちの子ほど課外活動にお金をかけられ、数多くの経験ができる。

その結果、アメリカでは「金持ちの子ほど高学歴・高収入の成功者になりやすい」状態になっている。

そのことを背景に、アメリカ在住の有識者が「日本が経験重視になると格差がさらに広がる」と発言。それに呼応する形で平原氏の発言が炎上したと思われる。

「学歴重視にも格差を広げる要素はある」と考える有識者も

一方、「学歴重視にも格差を広げる要素はある」と考える有識者もいる。

デジタル庁統括官の楠正憲氏は、SNSで「学力を判断基準にするのは公平」としながらも、「就職氷河期世代の意見」として「新卒採用については世代間の不公平がある」と発言している。

その一方で、「お金がなくてもできる経験もあり、それが進学や就職などで有利に働く可能性もある」と発言しており、経験重視には肯定的な考えだ。

確かに、日本の課外活動には「自分が住む町内会のボランティア」など、ほとんど参加費用がかからないものもある。アメリカのように社会貢献を念頭に置くなら、そのような経験で得た能力も高く評価される確率は高い。

それを考えれば、楠氏の意見にも一理ある。

日本の大学や企業も「学歴重視」から「経験重視」に傾いている

以上の通り、学歴と経験のどちらを重視するかで大きく意見が分かれる日本社会だが、近年は日本でも大学や企業における選考が「経験重視」に傾いていることをご存知だろうか?

一部報道によれば、難関私大では2023年度よりAO・推薦入試の枠を拡大させる方針だ。たとえば、早稲田大学では「募集全体に占めるAO・推薦入試の割合を6割まで引き上げることを目標としている。

また、東北大学では2021年度入試で全入学者の3割以上がAO入学者となり、その層がもっとも大学での成績がよいことも判明している。

一方、近年は多くの企業が採用の判断基準として「経験で身に着けた能力」を重視するケースが増えている。

しかし、重要なのは「経験すること」ではない。経験で身に付いた能力を社会貢献などに有効活用できるかどうかがもっとも重要なのだ。それができれば自分に対する社会的なニーズが高まり、家が金持ちでなくても一定の成功を収める可能性も高まるだろう。

文・大岩楓

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