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複数の道路に面している場合の増額補正
路線価における注意点

複数の道路に面している場合の増額補正

土地の相続で重要な路線価。知らないと損する「補正率」とは
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

評価額が低くなる土地がある一方で、利便性の高さから評価額が増額補正される土地もあります。「二方路線影響加算」と「側方路線影響加算」は、どのような特徴の土地が対象となるのでしょうか?

二方路線影響加算

正面路線と裏面路線の両方に接している土地は、「二方路線影響加算」による増額補正が必要です。一つの路線に接している土地よりも利便性が高いため、価値が高いと評価されるのです。

二方路線影響加算は、以下の方法で行われます。

  • 奥行価格補正後の正面路線価+奥行価格補正後の裏面路線価×二方路線影響加算×影響割合

各路線の路線価に奥行価格補正率を乗じ、金額の高い方の路線を「正面路線」とするのがルールです。加算率は、以下の通り地区区分ごとに設定されています。

地区区分加算率
ビル街地区0.03
高度商業地区・繁華街地区0.07
普通商業・併用住宅地区0.05
普通住宅地区・中小工場地区・大工場地区0.02

参考:正面路線の判定(1)|国税庁
参考:二方路線影響加算率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外改正) |国税庁

側方路線影響加算

「側方路線影響加算」とは、土地が「角地」または「準角地」の場合に使う増額補正です。

  • 角地:交差点や丁字路において、二方(正面・側面)を道路に囲まれた土地
  • 準角地:1本のL字型の道路において、二方(正面・側面)を道路に囲まれた土地

側方路線影響加算率は、以下のように地区区分ごとに異なります。2本の道路が利用できる角地の方が、準角地よりも土地の価値が高くなる点にも注目しましょう。

地区区分角地の加算率準角地の加算率
ビル街地区0.070.03
高度商業地区・繁華街地区0.100.05
普通商業・併用住宅地区0.080.04
普通住宅地区・中小工場地区0.030.02
大工場地区0.020.01

角地や準角地は分筆(一筆の土地を分割すること)によって、側方路線影響加算の影響度合いが変わります。分筆後に非角地となる土地があれば、一つの土地のまま評価するよりも評価額が下がるでしょう。

ただし、節税のために著しく不合理な分筆が行われた場合は、「不合理分割」とみなされる可能性があります。不合理分割では、分割前の土地を1画地として課税総額を決定します。

参考:側方路線影響加算率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外改正) |国税庁

路線価における注意点

土地の相続で重要な路線価。知らないと損する「補正率」とは
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

路線価で土地を評価する際は「過大評価」と「過小評価」に注意する必要があります。「自分で評価をしようと思ったが、よくわからなかった」という人は、早めに専門家にサポートを依頼するのが望ましいでしょう。

過大評価による税金の納め過ぎ

路線価地域にある土地は、路線価に地積を掛けて算出するのが基本です。相続税評価額の概算額を算出する場合は「路線価×地積」の計算式でほぼ問題はありませんが、相続税の申告・納税をする際は、各種補正率で調整する必要があります。

専門家でない場合、減額要素を見落としたり、計算方法を間違えたりして、過大評価をしてしまいがちです。仮に税金を納め過ぎてしまっても、税務署がわざわざ知らせてくれることはありません。

過小評価による追徴課税

利用価値が低いとして減額補正をしている土地は、税務調査時に注目され、場合によっては見解が分かれます。

例えば、がけ地補正率の「がけ地」には明確な基準がないため、申告をしたあとに、税務署が「がけ地には該当しない」「評価減は認められない」とする可能性もゼロではありません。

何らかの理由で過小評価をしてしまった場合、「過少申告加算税」とよばれる追徴課税が課せられてしまいます。過少申告加算税の金額は「増差本税(新たに納めることになった税金)×10%」が基本ですが、期限内申告税額または50万円のいずれか多い金額を超えている場合、超過分は15%となります。

参考:No.2026 確定申告を間違えたとき|国税庁