路線価地域にある土地は、「路線価」をベースに評価額を算定するのが一般的です。土地の特徴によっては「補正率」が適用でき、評価額が下がる可能性があります。ウェブ上で路線価を確認する方法や、補正率の種類を詳しく解説します。

目次
相続や贈与における土地の評価方法
対象の土地の路線価を知るには?

相続や贈与における土地の評価方法

相続や贈与で土地を取得した人は、相続税や贈与税を計算する際に「土地の評価」を行う必要があります。主な土地の評価方法には「路線価方式」と「倍率方式」がありますが、ここでは路線価を基準にする路線価方式について解説します。

路線価方式で評価

土地の上に建てられた家屋の評価額は「固定資産税評価額×1.0」で簡単に算出できますが、土地は「時価」により評価するのが原則です。一般人が土地の時価を把握するのは難しく、場合によっては申告・納税の期限に間に合わないケースも出てくるでしょう。

国税庁では、申告の便宜および課税の公平を図る観点から、土地の評価額の基準となる「路線価」と「評価倍率」を定めています。

「路線価方式」は、路線価が定められている土地を評価する方法です。「路線価」とは道路に面する土地の1m2あたりの評価額のことで、国税庁がウェブサイト上で公開する「財産評価基準」で確認できます。

参考:令和4年分の路線価等について|国税庁
参考:No.4602 土地家屋の評価|国税庁

公示地価の80%が目安に

路線価は、地価公示価格などを基にした価格の80%を目安に定められています。「地価公示価格」とは、国土交通省土地鑑定委員会が定めた「毎年1月1日時点における標準地の正常な価格」で、一般的な土地売買や公共事業用地の取得価格算定の基準となるものです。

相続で特定の相続人が土地を取得した場合、ほかの相続人に対して、相続分の代償となる現金を支払うのが一般的です(代償分割)。

地価公示価格よりも路線価が安い点において、代償金を支払う側は有利ですが、代償金を受け取る側からは不満の声が上がるかもしれません。

また、路線価に基づいた評価額が実勢価格と大きく乖離する場合、相続税額が不当に低くなる場合があり、国税当局に「過度な節税行為」とみなされる可能性がある点にも注意が必要です。

参考:地価・不動産鑑定:地価公示|国土交通省

路線価のついていない土地の場合

田畑が多い郊外では、路線価を定めないケースが大半です。路線価がない土地(倍率地域)は、以下の「倍率方式」で評価額を算出します。

  • 固定資産税評価額×倍率

「固定資産税評価額」は、毎年4月~6月頃に届く「固定資産税の納税通知書」で確認できます。「倍率」は、国税庁のウェブサイトにある「評価倍率表」を参照しましょう。

例えば、相続開始の日が属する年度の固定資産税評価額が2,000万円、倍率が1.1倍だった場合、相続税評価額の概算は2,200万円です。

参考:(倍率方式)|国税庁
参考:評価倍率表(一般の土地等用)の説明 |国税庁

対象の土地の路線価を知るには?

土地の相続で重要な路線価。知らないと損する「補正率」とは
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

対象となる土地の路線価は国税庁がウェブ上で公開している「財産評価基準書」で確認できます。確認の手順を確認しましょう。

国税庁のホームページへアクセス

まずは、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」にアクセスします。年ごとに区分されているため、該当する年度を選択しましょう。トップページには、最新の年の分が表示されています。

日本地図から対象となる都道府県をクリックし、目次の「土地関係」から「路線価図」をクリックします。続いて、検索したい市区町村をクリックして、「路線価図ページ番号」を選択すると、対象エリアの路線価図が表示されます。

参考:財産評価基準書 路線価図・評価倍率表|国税庁

数字を確認する

路線価図には町名と大まかな番地(丁目など)が記載されています。Googleマップなどと照らし合わせながら、土地の位置を特定しましょう。

路線価は、路線価図の道路上に書かれています(例:300G)。路線価図において、路線価は1m2あたりの価額を1,000円単位で示したものであり、「1坪あたり」ではない点に注意しましょう。

路線価を基に土地の評価額を計算する際は、路線価に地積(土地の面積)を掛け合わせます。例えば、矢印の範囲の道に「300」という数字があれば、1m2あたりの路線価は30万円(300×1,000)です。

参考:【参考6】路線価図の説明|国税庁