日本では原則、国が認めた公営ギャンブル以外の賭博行為は禁止されている。「金銭を賭ける」ことに変わりはないのに、競馬や競輪が合法で、賭け麻雀や賭け花札などが違法となるのはなぜか。合法と違法の線引きや仕組みを解説する。

公営ギャンブルは「財政的な貢献」が目的

通常、賭博行為は刑法上の処罰対象とされている。しかし、国が認める「公営ギャンブル」は、競馬法や自転車競技法など、それぞれの競技を規制した「特別法」を基に、特殊法人や地方公共団体による施行が許可されている。

公営ギャンブルに当てはまる収益事業は以下の4つだ。読者の中にはこれらの公営ギャンブルを興じたことがある人もいるはずだ。

・競馬
・競輪
・競艇
・オートレース

広義の意味では、「公営くじ」も公営ギャンブルに該当する。宝くじやロト、totoやBIGなどのスポーツ復興くじだ。

・宝くじ、ロト
・スポーツ復興くじ(toto、BIG)

公営ギャンブルの目的とは?

公営ギャンブルは、収益性や地方財政の健全化といった「財政的な貢献」が主な目的である。この点が、国に認められている大きな理由だ。

それぞれの競技には、関連産業の振興や納付金による公益還元、財政の改善など、公益目的が掲げられている。例えば競馬では、「馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するとともに、地方財政の改善を図ること」を目的としている。

収益の扱いは、中央競馬は「勝馬投票券の売得金の10/100および剰余金の1/2」を、totoは「スポーツ振興投票券の収益の1/4」をそれぞれ国庫納付とする。各事業の振興会への交付金などを差し引いた収益金は、地方自治体の財政資金である。

パチンコや麻雀の立ち位置とは

一方、民間業者が営業するパチンコや麻雀は公営ギャンブルに該当しない。政府は、風俗営業法(風営法)で規制しているため賭博罪には当たらない、とのスタンスを示している。

風営法では、パチンコの場合、遊技の結果に応じて景品を提供できるが、現金や有価証券の提供、出玉などを店外に持ち出すことを禁止している。客は出玉を特殊景品に換え、別の営業主体である交換所で現金化するという、いわゆる三店方式を取っている。

第三者を介して間接的に換金する仕組みは完全な適法とはいえないものの、法のグレーゾーンをつくことで違法性を阻却しているのだ。

金銭を賭ければ賭博罪の対象に

では、レートありの賭け麻雀や賭け花札は、完全な違法になる。たとえ自宅や知人宅で、家族や仲間内だけで行う賭けだとしても、通報されて現場を押さえられれば、処罰の対象になる恐れは十分にある。

そもそも、賭博とは「偶然の勝負に関して、財物や財産上の利益を賭けてその得喪を争うこと」と定義され、社会の風営を害する行為として禁止されている。賭け麻雀などで問われる可能性があるのが、以下の3つだ。

賭博罪(刑法第185条)
「賭博をした者は、50万円以下の罰金または科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない」

常習賭博罪(刑法第186条第1項)
賭博の常習性がある場合はさらに刑が重く、「常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する」と定めている。

賭博場開張図利罪(刑法第186条第2項
主催者など胴元となった場合、「賭博場を開張し、または博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する」とされる。自らが賭博に参加しなくても、フリー雀荘でレートを決定して手数料(テラ銭)を徴収したり、賭博の申し込みを受けて賞金を配当したりする行為も該当する。

罪にならない「回避術」も存在する

賞金が懸けられた麻雀大会やゴルフ大会はどうだろうか。この場合は賞金の負担者が誰か、という点がカギとなる。もし、それぞれの参加費が賞金に充てられていれば、賞金に勝ち負けの関係性が発生するため賭博罪に問われる恐れがある。一方、参加が無料で大会主催者やスポンサーが賞金の全額を負担すれば、賭博行為には当たらないといえる。

賭博罪の例外である「一時の娯楽に供する物を賭ける」行為も合法だ。一時の娯楽に供するものとは、すぐに消費するものを指しており、その費用や飲食代が当てはまる。

つまり、麻雀や花札、ゴルフなどのゲーム代や、ゲーム後の食事代や飲み会代について「負けた人が代金をおごる」などといったルールを設定し、金銭を賭けないのであれば賭博罪にはならないのだ。

線引きを学んで正しい賭け事を

個人同士による賭け麻雀や花札で逮捕や起訴に至る事例は少ないため、罪の意識は低くなるかもしれない。しかし、公営ギャンブルではない限り、たとえ少額であったとしても、金銭が賭けられている以上は賭博罪が成立してしまう。合法と違法の線引きを知識として頭に入れておくことで、安心して遊べるようにしたい。

文・MONEY TIMES編集部

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