スマホを子どもに使わせる前に、勝手に課金できないようにする設定は済ませているだろうか?「うちの子はそんなことはしない」「まあ大丈夫だろう」と油断していると、100万円以上の被害もあり得ることを認識しておきたい。

小学生男子によるゲーム課金トラブルが多い

国民生活センターによると、オンラインゲームに関する相談は、2020年度は7,149件、2021年度は4,740件に上る。そのうちの代表的な事例として挙げられているのはいずれも、親の知らないうちに子どもが多額の課金をしていたケースだ。

2020年度を例に挙げると、契約当事者が小・中・高校生のケースは3,723件である。ここでいう契約当事者とは代金の請求を受けた者ではなく、ゲームへの課金そのものを行った者を指す。

そして、3,723件の内訳は小学生が1,858件、中学生が1,374件、高校生が491件だ。年齢が下がるほど、ゲーム課金のトラブルは起こりやすいと考えていいだろう。また、相談件数は、男子が圧倒的に多い。

支払ってしまった金額は、10万~50万円未満が43.5%で最多。次に、5万~10万円未満が17.3%。1万~5万円未満が15.4%と続く。驚くべきは50万~100万円未満が10.4%、100万円以上も5.1%いることだ。

子どもによる課金トラブルを防止するには

課金トラブルを防止するには、子どもが利用するスマホやゲーム機などで勝手に課金できないようにすればよい。お小遣いの範囲で課金を許す場合は、課金額やその目的を親が確認した上で決済の操作を必ず親が行うようにする。

その際、そうすることの意味も伝えるといいだろう。中には、ネットで親の目をかいくぐって課金する方法を調べて、それを実行に移す子どももいる。そういう行為のリスクをきちんと認識させることで、ネットリテラシー、マネーリテラシーの学びにもできる。

具体的な課金トラブル防止法を次に挙げておこう。

決済時のパスワードを設定し子どもに知られないようにする

子どもが使うことになる端末(スマホ・ゲーム機・パソコンなど)では、パスワードなしの決済ができないように設定する。課金時に親がパスワードを入れる場合は、入力を見られないように注意すべきだ。

同じ端末で親用のアカウントと子ども用のアカウントを分けている場合も、切り替えを忘れて親用のアカウントのままで子どもに渡してしまう可能性を考え、決済は常にパスワード必須としておきたい。

ペアレンタルコントロール

子ども用のアカウントを親が管理できる「ペアレンタルコントロール」の仕組みを使い、課金の制限もできる。この機能は、iOS端末では「ファミリー共有」、Android端末では「ファミリーリンク」と呼ばれている。

クレジットカードの管理を徹底する

ある程度の年齢の子どもは、親のクレジットカードを持ち出して自身で課金の設定ができてしまうため、クレジットカードを子どもが手に取れないようにし、カード番号や暗証番号、セキュリティコードなども知られないようにしたい。

現金ベースの決済方法を子どもに提案する

お小遣いの範囲での課金を許す場合は、オンラインで利用できるプリペイド型の電子マネーやギフトカード(WebMoney・App Store & iTunesギフトカード・Google Playギフトカードなど)を購入させてもいいだろう。

もしくは、VISAやMasterCardなどの国際ブランド付きのプリペイドカードにお小遣いをチャージし、そこからクレジットカードの要領で課金してもよい。例えば、三井住友銀行の「Visaプリペ」なら6歳以上(小学生以上)から申し込み可能だ。

万が一、子どもが勝手に課金してしまったら?

以上の対策を行ってもなお子どもが勝手に課金してしまったら、どうすればいいか?通常、未成年者が親の同意を得ずに契約したものは、民法で定められた未成年者取消権によって契約を取り消せる。しかし、オンラインゲームでは「子どもが課金した」という証明が難しいため、取り消しが認められず返金されないケースが多い。

子どもが容易にカード番号などを知ることのできる状態の場合も、管理責任を問われて返金されない可能性が高くなる。カード会員規約で定められている“善良な管理者としての注意義務”=「善管注意義務」を怠っているとみなされるからだ。

ただ、場合によっては返金される可能性もあるので、国民生活センターではまず消費者ホットライン「188(いやや!)」番へ電話することを推奨している。具体的には、そこで紹介された消費生活センターなどへ連絡して相談する形となる。

お金について考えるきっかけにも

容易に課金できない設定を施す際には、どうしてそうするのかを子どもに伝えたほうがいいだろう。それにより、子どもにとってもお金について考えるいい機会となる。

ネットには、親の目を盗んで課金する方法を指南する情報が流布されている。特に小さい子どもだと、お金を使っている自覚のないまま課金してしまうケースもある。「うちの子はそんなことはしないはず」と思い込まず、あらゆる可能性を考えておくべきだろう。

文・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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