社会に出てから初めて出会う言葉は多い。だから、学生時代に優秀だった人も、ビジネス用語を読み間違え、大恥をかくことがある。大事な打ち合わせでの誤読は、相手からの評価を下げてしまいかねない。今回はつい読み間違えてしまいそうな用語を紹介する。
「粗利益」は「そりえき」?「あらりえき」?
まずは会計用語から。粗利益は売上高から売上原価を引いた金額を指す。正式には「売上総利益」という。
これを「そりえき」と読む人も多いが、実は「あらりえき」が正しい。その証拠に、粗利益を「荒利益」と書く人(会社)もいる。日常的な用語ならまだしも、お金にかかわる分野での誤読は、聞いた相手からの信用をも落としかねないので注意したい。
「約定」は「やくじょう」?「やくてい」?
株式の売買が成立したことを指す言葉「約定」。これを「やくてい」と勘違いしている人も多いだろうが、正しくは「やくじょう」という。
保険業界で出てくる用語「返戻」は解約などに伴って契約者にお金が戻ってくる場合に出てくる。これは「へんれい」で、あらかじめ知っていなければ想像もできないような読み方の単語だろう。
難しいのが「出納」で、この正確な読み方は複数あるとされる。金品の出し入れを指す言葉で、正しくは「すいとう」あるいは「しゅつのう」と読む。ただし「すいとうが正しい」と言う人も「しゅつのうが正式」と言う人もいる。実際はどちらも正しいが、どちらかと言えば「すいとう」が多数派のようだ。
打ち合わせシーンで誤読しやすい単語「早急」「あり得る」「貼付」
次に、ビジネス上の打ち合わせシーンで誤読しそうな言葉を紹介しよう。まずは「早急」。字面の通り「なるべく急いで」という意味だ。「会社に戻り次第、早急に取り掛かります」のように使うことがありそうだ。この言葉を「そうきゅう」と読んでいないだろうか。
実際は「さっきゅう」と読むのが正しい。せっかく案件に積極的に向き合う気構えを示す場面で「そうきゅうに取り掛かります」と読み間違えられては、相手は肩透かしを食うところがあるだろう。
それでは「貼付」はどうだろうか。これも意味は文字通りで、何か物を貼り付けることだが、読み方は「はりつけ」ではなく「ちょうふ」が正しい。送り仮名がない漢字2文字の「貼付」が出てきたら要注意だ。
面白いのは、近年は貼付を「てんぷ」と誤読する人が増えて一般的に定着し、貼付の慣用句読みとして、国語辞典に「てんぷ」が掲載されるようになった例もある。もっとも、誤った読み方が市民権を得てきたからといって、正式な読み方を知っておくことが大切であることは変わらない。
日常会話でも頻繁に使う「あり得る」。これは「ありえる」ではなく「ありうる」が正しい。よく使う言葉だけに、1度の会話で何度も使う場面がありそうだが、その度に間違っていては相手の印象を何度も悪くしかねないので気を付けたい。
「代替」は「だいがえ」ではない
「この分野から業界最大手の企業が撤退するので、弊社が代替製品を提供したいと考えている」。この文章には誤読しやすい単語が2つある。「最大手」「代替」だ。
最大手は「さいだいて」と読む人も稀にいるが、基本的には「さいおおて」と読む。最大手とは、業界で力を持っている会社を指す「大手(おおて)」のうち、一番手の企業を指すという点から考えても「さい・おおて」が妥当なところだろう。
「代替」は字面から「だいがえ」と読む人が多い。ただ、これは「だいたい」が正しい。例えば「交代(こうたい、=何かを引き継ぐこと)」と同じ読み方で「交替(=入れ替わること)」という言葉があり、やはり「替」を「たい」と読む。大切なプレゼンで読み間違えないよう、しっかりと覚えておきたい。
他によく見られる読み間違いとしては「既出(きしゅつ)」を「がいしゅつ」、「役務(えきむ)」を「やくむ」、「完遂(かんすい)」を「かんつい」、「割愛(かつあい)」を「わりあい」、「凡例(はんれい)」を「ぼんれい」と言ってしまう例が散見される。
意味を間違えやすい言葉にも注意
この際、少し話を広げて意味を間違えやすい言葉も同時に学んでおこう。
「役不足(やくぶそく)」は正反対の意味で覚えてしまっている人が多い言葉だ。「能力が足りない」という意味は間違いで、正しくは「能力に対して役割が軽すぎる」という状況を指す。
「おざなり」は、いい加減に物事を済ませることで、似た言葉に「なおざり」がある。ところが「なおざり」は、いい加減にしてそのまま放置することを言うため「いい加減」という点は共通しているが、行動したのが「おざなり」、結局は何もしなかったのが「なおざり」という点が異なる。
「煮詰まる」は精神的に追い込まれた状況で使われがちだが、本来は「議論や意見が出尽くされ、結論の出るような状態になる」ことを言う。
誤読や誤用を巡る問題は難しい。相手も覚え間違いをしていた場合、むしろ誤読することがスムーズな会話になることもあるからだ。それでも、正しい読み方・使い方を続けることが、きっと長期的には自身の信頼度の高まりにつながることだろう。
文・MONEY TIMES編集部
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