目次
エゾクロテンの分布と歴史
エゾクロテンの生態を探る
・可愛い顔をしていながら優秀なハンター・エゾクロテン
エゾクロテンの分布と歴史
エゾクロテンは北海道の県央と、北の地域、また東の森林に生息しています。よく観察されるのは道北や道東が多いです。明治までは北海道全域に生息していたと言われています。
明治にはエゾクロテンの毛皮が乱獲されてました。乱獲の結果、エゾクロテンは絶滅危惧種となります。エゾクロテンの絶滅の危機を受けて、1920年の大正期から2022年の現在に至るまで、エゾクロテンの狩猟は禁止されています。現在、狩猟可能な動物は決められていますが、そのリストにエゾクロテンは含まれていません。
また、北海道の道央にはエゾクロテンと野生化した「ホンドテン」が生息しています。そのことから交雑の可能性が考えられます。この異形交配の背景から、純粋種(純血種)であるエゾクロテンの減少が心配されています。
エゾクロテンの生態を探る
エゾクロテンの生活様式を覗いてみましょう。エゾクロテンは、北海道の森林に生息しています。樹上で生活を送っている個体が多いです。
活動場所としては沢や川の付近があげられます。エゾクロテンは、樹木に出来た洞窟状の空間(穴)または、民家の建物の屋根裏や縁の下を住処としていることが多いです。
森林で生活しているエゾクロテンは冬眠をしません。一年中しかも、昼夜問わず、活動しています。かれらは警戒心が強く、周囲を見わたす際には二本の足で立つことがあります。
繁殖期を除いて基本的に単独で行動をしています。
可愛い顔をしていながら優秀なハンター・エゾクロテン
狩りとは無縁の可愛らしい表情をもつエゾクロテンですが、狩りは得意です。かれらは時として、自分よりも大きな獲物を狙うことがあります。しばしば獲物に定められる「エゾユキウサギ」もエゾクロテンより大きな動物です。
躯体の柔軟性に優れているエゾクロテンは、木登りが非常に上手く、自分のからだよりも細い木にも登ることが可能です。樹上では「エゾリス」を狩って捕食します。
またエゾクロテンは動物を食したあと、その動物の頭部を残すことで知られています。これは捕食した頭蓋骨が硬いことが要因とされています。
なんと、「キタキツネ」とケンカをするエゾクロテンの姿も確認されています。くりくりとした瞳のキュートなエゾクロテンからはとても想像できない、気性の激しい一面も兼ね備えているようです。こういったことから、エゾクロテンは「森に住まう冷酷なハンター」と呼ばれています。