新型コロナウイルスの感染拡大が2022年後半に差し掛かっても収まらない中、経済社会活動は少しずつ正常化し、商業施設や飲食店に客足が戻り始めている。そのような中でクイズの出題だ。ファミレスのライバルともいえる「サイゼリヤ」と「ガスト」、売り上げの比較を試みると、どういう結果となるだろうか。

すかいらーくHDの売り上げは3,000億円規模

さまざまな業界の現状を紹介しているウェブサイト「業界動向.com」によると、ファミレス業界で最も売り上げが多いのは「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」などのブランドを展開する、すかいらーくホールディングス(HD)である。2位がサイゼリヤ、3位が「ロイヤルホスト」のロイヤルホールディングス(HD)の順番となる。

上位3社がそれぞれ発表している最も直近の1年分の決算を見てみる。すかいらーくHDの2021年12月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高に当たる売上収益が2,645億円、営業利益は182億円、純利益に当たる当期利益が87億円だった。営業損益、当期損益は黒字転換した。

一方、サイゼリヤの2021年8月期決算は売上高が1,265億円、営業損失が22億円、純利益が17億円だった。売り上げはコロナで打撃を受けた前期から横ばいだったものの、多額の補助金収入を加えたほか、前期に計上した減損損失もなくなり、経常、最終損益は黒字化した。

もっとも、すかいらーくHDはカフェや唐揚げ専門店も展開している。同社が展開する3,085店(2022年6月末時点、海外72店を含む)のうち、一般にファミレスといえそうな「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」「夢庵」の4ブランドは計2,061店。全社の売り上げのうちファミレスの売り上げは仮に店舗数に比例して3分の2に当たる2,000億円弱としても、両社の差は縮まるものの、すかいらーくHDの売り上げは多くなる。

厳密にガストとサイゼリヤを比較できないが、ファミレス業界の分析に上記の情報を役立ててもらえれば幸いだ。

2020年に市場が縮小

業界動向.comによると、新型コロナが拡大した初年度に当たる2020年の主要ファミレス14社の合計売上高は、前年比24.9%減の7,540億円だった。緊急事態宣言や「まん延防止等重点措置」などの施策により、外食の自粛が求められ、また、その後も外食を控えるムードが根強かったことで、市場規模が急に小さくなってしまった。

日本フードサービス協会が2022年1月に公表したレポートによると、2021年1~12月の会員各社の売り上げは、新型コロナ前の2019年と比べて16.8%減少した。

業態別ではファミレスが2019年比29.7%減、ディナーレストランが同42.6%減、喫茶が同30.8%減、パブレストラン・居酒屋が同72.8%減という状況だった。こうして見ると、ファミレスの落ち込みは外食業界全体の中では中位にある。

とはいえ、営業時間が長く、大勢のスタッフを雇うファミレス業態は市場規模の減少ぶり以上に損益状況が悪化した。ファミレス各社は不採算店の閉店を発表した。すかいらーくHDは2020年11月に200店を閉めることを決定し、九州を地盤とするジョイフルも200店、ロイヤルHDも70店の閉店を公表している。

店は閉めないまでも店舗の改革を進めたケースがある。例えば、ファミレスで、同じ会社内の唐揚げ専門店のメニューを提供することで、店舗数の減少影響を和らげたり、既存店舗の魅力付けを進めたりしている。

すかいらーく、サイゼリヤとも通期予想は黒字

すかいらーくHD、サイゼリヤの最新の業績を見てみる。すかいらーくHDの2022年1~3月期(第1四半期)の連結売上収益は前年同期比3.6%増の671億円。営業損失は12億円から2億円に改善し、四半期損失は18億円から4億円に改善した。

一方、サイゼリヤは2021年9月~2022年5月期(第3四半期)の連結売上高が1,073億円、営業利益が10億円、純利益が65億円だった。営業損益は前年同期の8億円の赤字から黒字に転じた。

両社の今期の業績予想は、すかいらーくHDの売上収益が3,360億円、営業利益が前期比45.1%減の100億円の見通し。サイゼリヤの売上高は1,480億円に回復し、営業損益は36億円の黒字に転換するという。

コロナ禍で逆に反転攻勢も

コロナ禍では、外食業界全般で経営へのダメージが広がった。そのような中、ファミレス各社は徐々に反転攻勢に出始めている。

日本フードサービス協会のレポートによれば、市場規模の縮小ぶりはファミレスよりもパブレストランや居酒屋など、アルコール類を提供する業態で深刻だった。それらの業態でも店舗網の統廃合が進んだ結果、これまでなかなか空きのなかった好立地の物件に出店余地が生まれている。

すかいらーくHDの1~3月期の決算説明資料によると、首都圏や政令指定都市といった主要都市の駅前など、比較的条件の良い場所に空き物件が増えた。同社では90坪前後で好立地の物件60件ほどを精査しているらしい。業績に底打ちの兆候が見られる中、アフターコロナでの成長を見据えた戦いがすでに始まっている。

文・MONEY TIMES編集部

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