目次
NTBの規格部品を使用したメンテナンスの実例を紹介!
・フロントフォークシールの交換
・NTBのオイルシールにはバイク用ならではのノウハウが詰まっている!
アドレスV125Gのフロントフォークシール交換
・フロントフォークの組み立て
NTBの規格部品を使用したメンテナンスの実例を紹介!
フロントフォークシールの交換
バイクのテレスコピック式フロントフォークは、減衰力を発生させるためにフォークオイルとダンパーを内蔵している。
その、フォークオイルが漏れないように「オイルシール」とオイルシールをゴミなどから守るための「ダストシール」という2つの部品が重要な役割を果たしている。
オイルシールは消耗品で、インナーチューブとの隙間にゴミが挟まったり、ゴムの硬化でオイルをシールすることができなくなると、フォークオイルが漏れ出てしまう。
フォークオイルが漏れると適切な減衰力が発生できずに走行安定性が低下したり、漏れたオイルがブレーキに付着して制動性が著しく悪化する原因となってしまう。
だからこそ「オイルシール」と「ダストシール」のコンディションは非常に重要だ。
NTBのオイルシールにはバイク用ならではのノウハウが詰まっている!

フロントフォークのオイルシールはインナーチューブ径とアウターチューブ径と高ささえ合えば流用できると思われるかもしれない。
しかし、ロードモデルとオフロードモデルではサスペンションのストローク量も異なるため、オイルシールのリップ部にテンションをかけているスプリングが異なっているのだ。

このスプリングが強すぎればフォークの動きの悪化を招くことになり、逆にスプリングが弱ければオイルが漏れやすいということになる。

そこで、NTBではサイズが同一だからといって適合品とせずに、スプリングのテンションまで測定してしっかりと適合の確認を行っているのである。だからこそ、安心して使用することができるのだ。
もし、適合品選びで不安を感じたなら「N.T.Bオートパーツサーチ」で確認すれば安心だ。
アドレスV125Gのフロントフォークシール交換

アドレスV125Gのフロントフォークを外すには、三叉からアッセンブリーで分解しなければならない。ゆえにフロント周りは全バラに近い状態に。

フォークのトップキャップがフォークの抜け止め(位置決め)になっているので、ここまでバラす必要がある。トップキャップを緩めるには17mmのヘックスが必要。

フォークオイルは本来赤色なのだが、ヘドロのような色のオイルが出てきた。交換時期はとっくに過ぎている。

ダストシールを取り外す。ヒビが入っていたのでゴミの侵入を防ぎきれないし、インナーチューブを傷つける要因になる。さらにクリップを外す。

フォークボトムのドレンボルトを緩める。供回りするので作業開始時に車体に装着された状態であらかじめ緩めておくと良い。

ドレンを外すとインナーチューブを抜くことができる。アウターチューブに残ったオイルシールを取り外す。外す時にアウターチューブを傷つけないように注意。ここでは裏技的にスパナを使った。
外れたオイルシールは弾力も無く、近いうちにオイル漏れが予想されるコンディション。早く交換できてよかった!

すべて分解できたので、ここからパーツクリーナーでよく洗浄する。
フロントフォークの組み立て

上が今まで付いていた旧いシール。下がNTBのオイルシールだ。当然だがゴムの弾力があって柔らかい。

ボトムケース内側のサビなどを確実に除去して、オイルシール外側と内側のリップ部にシリコングリスやフォークオイルを塗布する。

フォークシールの外径に合うソケットでシールを打ち込んだ。本来は専用工具の使用を推奨。

ボトムケースのクリップ溝が全周現れるまでフォークシールを打ち込み、クリップを装着する。

インナーチューブにダンパーとオイルロックピースをセットした状態でドレンボルトを締め付け、インナーチューブとアウターチューブを合体させる。

フォークオイルを注ぎ入れて、油面調整を行う。注射器型の調整ツールで純正規定の103mmに合わせた。

ダストシール、フォークスプリングを組み付けて、車体に復元する。

フォークオイルが新しくなり、さらにフォークシールが新品になったことで、フロントフォークがしなやかな動きになった。これでフォークオイル漏れの心配なく快適に乗ることができるようになった!