アジア枠の拡大は「事件」!?

特にアジア大陸枠の拡大は批判的な意見が多いです。日本も参加するアジア大陸予選の出場枠は、これまで4.5だったのが8.5となりました。アジアから最大9カ国も参加できるのです。

一見、アジアの大快挙のようにも見えます。アジアの国々は歓迎するべき…とシンプルに思って良いのでしょうか?

少なくとも日本ではファンにも有識者にも、そして選手にもそうは思わない方が多いようです。

実際、アジアサッカーの発展や実績が評価されての増枠でないことは明らかです。

FIFAは中国のチャイナマネー、中東のオイルマネー、さらに人口増と経済発展が著しい将来のインド市場をも狙ったアクションであることを隠していません。例えばこの記事にあるように、「サッカーの裾野を広げる」という名の商業主義で動いているようです。

では、実際のところ、アジアから最大9カ国出場するということはどういうことなのでしょうか?現在(2022年8月)の状況から推測してみましょう。

今、FIFAランキングでアジア9位あたりに位置するチームは、世界ランクでは80位前後のチームです。世界ランク下位チームは世界ランク上位チームとの対戦は滅多にないのですが、現アジア9位あたりのチームと比較的上位チームとの対戦としては2018年に行われた現アジア4位(世界39位)のオーストラリアとの国際親善試合があります。

この試合では0-5と、サッカーとしては「惨敗」と言える結果でした。仮にW杯に出場して世界のTOP20などと対戦したら…。アジア9位あたりのチームには申し訳ないのですが、もっと点差が開く試合になるかもしれません。

あくまでの今のところのデータに基づいた推測に過ぎません。しかし、データから考える限り出場チーム拡大によって痺れるような名ゲームが増える要素は見つけにくいと言えるでしょう。

果たして、新レギュレーションは成功するのか?

このようにFIFAのW杯出場チームの拡大案は発表当初から何かとケチがついています。果たして多くのメディアが言うように「大会の価値を下げて」ファンからそっぽを向かれて失敗してしまうのか、FIFAの目論見通り「裾野の拡大」で成功するのか、どうなるのでしょうか…?

そして、サッカーを楽しみたい「サッカー好き」な私たちはこの2026年の拡大W杯をどのように楽しめるのでしょうか?

そこで、ここでは心理マーケティングの鉄則の一つ「AIDAの法則」でこの決定の良し悪しを3回に分けて考えてみましょう。