新型コロナウイルスの流行初期から厳格なゼロコロナ対策を実施してきた中国。にもかかわらず、中国ではたびたび感染が拡大している。

そんな中、特別行政区のマカオ市(以下・マカオ)だけは長期に渡って感染者ゼロを維持してきた「ゼロコロナ政策の優等生」だ。

しかし、2022年夏にはマカオでもついに感染者が急拡大。メイン産業のカジノを含む経済活動がほぼすべて停止する事態に陥った。

この記事では、さまざまな背景をもとにマカオで感染が急拡大した理由を探ってみた。

新型コロナウイルス感染急拡大でマカオの全カジノ営業停止

マカオでは、2022年7月11日までのたった3週間で感染者ゼロから1,500人以上まで急増した。それを受け、マカオ政府は7月11日より主要産業のカジノを含むほぼすべての経済活動を停止した。

また、マカオ政府は生活必需品の買い物など必要最低限以外の外出を禁じて違反者には刑事罰を科すなど、事実上のロックダウン状態となった。

それが功を奏したのか7月下旬には感染者が大幅に減少。現在はカジノを含む経済活動が部分的に再開されている。

しかし、外出自粛要請や外出時のKN95規格以上のマスク活用義務は7月末日現在も継続中である。

「ゼロコロナ政策の優等生」マカオでなぜ急に感染拡大?

約8ヵ月も感染者ゼロを維持し続け、「ゼロコロナ政策の優等生」であったマカオでなぜ感染が急拡大したのだろうか?

その大きな理由として、現在感染力が強いオミクロン株「BA.5」が中国を含む世界中で猛威を振るっていることが挙げられる。

マカオの感染者の多くも「BA.5」に感染している。その少し前からマカオとの往来が多い中国本土で「BA.5」の感染が拡大しており、本土から訪れた感染者がマカオの感染拡大を誘発したと思われる。

「ゼロコロナ政策」を続ける中国の今後は?

現在マカオでは厳格なゼロコロナ対策が功を奏して感染者が減少傾向にある。とはいえ、ゼロコロナ政策を実施しても中国全土の感染者は一向にゼロにならない。

そんな中でこれ以上ゼロコロナ政策を無理に続ければ、国内経済や市民生活の深刻な悪化は免れないだろう。それによって国民の不満が大きくなり、各地で香港と同様の反政府デモが頻発する恐れもないとはいえない。

そのような形で国内情勢が大きく悪化すれば、それに連動する形で世界情勢も大きく悪化する恐れがある。そのような事態に陥る前に、中国政府はゼロコロナ政策を見直す必要がありそうだ。

文・大岩楓

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