2022年7月8日に発生した、安倍晋三元首相の襲撃事件。逮捕された山上徹也容疑者は、宗教にハマった母親により、壮絶な人生を歩んできたことがクローズアップされた。本記事では、襲撃事件の動向を簡単に振り返った後、恐ろしい洗脳の手口を紹介し、洗脳に陥らないように注意喚起を行う。

借金をしてまで寄付…洗脳の恐怖

山上容疑者の母親は、夫が自殺した1984年頃より統一教会に入信。夫の生命保険や亡くなった自分の父親の遺産など、総額1億円以上を寄付したという。金銭的に苦しい中、山上容疑者は地元のエリート校を卒業、その後自衛隊に入隊した。しかし、自殺未遂を図っている。

山上容疑者が自衛隊に入隊した直後、彼の母親は自己破産し、2015年には大切な兄も自死。追い詰められた山上容疑者は事件を起こしたが、母親はいまだに統一教会の会員のままだという。

ここまで強い洗脳は、心の弱い一部の人のみの問題なのだろうか。実は、洗脳やマインドコントロールは、普通の人をも簡単に飲み込んでしまう危険性をはらんでいる。

洗脳、マインドコントロールの危険性

洗脳やマインドコントロールは、心の弱い人だけの問題ではない。誰にでも起こりうる。段階的に進むため気が付けば抜けられない状態に陥るケースも多くみられる。

洗脳は、まず対象者を「安心」させ、心の底を言い当てる「驚き」を体験させて深みにはめていく。一度仲間に入ると、他のメンバーと競わせて「嫉妬」をあおり、家族や社会から分断するべく「囲い込み」を行い、帰る場所を失わせる、という仕組みだ。

洗脳やマインドコントロールに囚われやすい人は、真面目で向上心がある人だという。これらの被害に遭わないためにも、犯罪を予防するとともに、洗脳やマインドコントロールの手法を知るべきだろう。

よくある洗脳の手口9パターン

ここからは、よくある洗脳の手口を9種類紹介する。手口を知り、危険だと思ったら全力で逃げるように心がけたい。

【歌や詠唱による洗脳】
マントラやお経など、単純で抑揚のないフレーズの詠唱を繰り返すと、思考を鈍らせ、トランス状態を生み出しやすい。トランス状態に入ると暗示にかかりやすくなり、批判的思考を失ってしまう危険性がある。

【外部からの孤立】
洗脳が進む段階でも説明したが、外部からの孤立に陥れることで、信者は帰る場所を失い、ますますその集団への依存を深めていく。外部からの孤立を深めると、外界の価値観を捨て、集団の思想を簡単に植え付けられてしまう。

【依存と恐怖】
集団に依存させるとともに、従わない者には情け容赦ない罰を与えて恐怖を抱かせると、信者はもはやその組織から抜けられなくなる。過度なストレスを受けると、人間の人格は簡単に変わってしまう。

【睡眠妨害と疲労】
睡眠を妨害され、疲労が蓄積する状態に追い込まれると、人間は正常な判断ができなくなる。長時間の会合や休憩を妨げる音楽などで朦朧となると、何かに抵抗する気力を奪われてしまう。また、栄養の乏しい食事も、疲労からの回復を妨げ、従順な信者を生産する。

【自己批判と指差し】
仲間同士でともに自己批判を行うことで、自身の中でこれまで信じてきた価値観への不信感を植え付ける手法。最初は従う気がなくても繰り返し批判を続けていると、自分がこれまで信じてきた信念など簡単に揺らぐという。

【愛の爆弾】
新しく入ってきた信者に対して最大級の歓迎を演出することで、集団の外部は危険で、内は愛に満ちていると錯誤させる手法。次第に信者は、仲間意識や承認を得られて満足し、外部に戻る気力を失う。社会心理学において、人は、自分に向けられた愛情を返そうとする傾向があるとされる。

【スピリチュアル(神秘的)な操作】
洗脳の段階で「驚き」と説明した部分に対応する手法で、超自然的な「奇跡」を見ることで、信者は教祖を神の代理人のように思い、その言葉が常に正しいと信じるようになる。オウム真理教で言えば空中浮遊を見せる行為が、この手法に該当する。

【訴訟教唆の乱用】
カルト教団の多くは、弁護士を仲間にして、教団に批判的な人を片っ端から告訴する。カルト教団は訴訟を起こす資金的余裕がある一方、元信者は全財産を失っているケースが多く、訴訟されると太刀打ちできない。訴訟は、相手に嫌がらせをして士気を砕くことを目的とする。

【思考停止させるための決まり文句】
信者の服従を強いるため、教団には「思考停止させるための決まり文句」がある。決まり文句では言い切れない複雑な問題も、決まり文句の陳腐なフレーズに複雑さを切り落とされ、問題の本質を覆い隠す。共産主義国ではこのようなフレーズが多く使用され、自国民が国家の規定したこと以外を考えられないように、考える力を抑止するという。

怪しい勧誘には耳を貸さないように

よくある洗脳の手口を9パターン紹介した。いずれもはまってしまうと自分の意志でぬけだすことは困難である。怪しい勧誘には決して耳を貸さず、洗脳とは無縁の生活を送るようにしたい。

文・藤森みすず

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