目次
相続放棄申述書に記載する内容
 ・申述人の氏名や相続に関する情報
 ・放棄の理由
 ・相続財産の概略
被相続人の住民票の除票とは
 ・住民登録が抹消された住民票
 ・最後の住所地を管轄する役所で取得
 ・他の相続人がすでに提出していれば省略可能

相続放棄申述書に記載する内容

相続放棄の必要書類とは。親子間のケースを例に解説
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

相続放棄申述書には書式があり、記載すべき内容もあらかじめ決まっています。細かいルールがあるため、家庭裁判所のウェブサイトにある「記入例」には必ず目を通しておきましょう。

申述人の氏名や相続に関する情報

相続放棄申述書の書式を入手したら、まずは申述人の氏名や相続に関する情報を記入します。

  • 申述書を提出する裁判所名
  • 申述人の情報
  • 法定代理人の情報(申述人が未成年の場合など)
  • 被相続人の情報
  • 相続の開始を知った日

です。

被相続人の情報欄には、本籍・最後の住所・死亡年月日などを記載しなければならないため、事前に確認しておきましょう。

「相続の開始を知った日」は、複数の項目から当てはまるものを選ぶ選択式です。自分が相続人であることを知った日は、必ずしも被相続人の死亡当日であるとは限りません。

放棄の理由

「放棄の理由」は、相続放棄をする理由を1~6の選択肢から選びます。選択肢は、以下の通りです。

  1. 被相続人から生前に贈与を受けている
  2. 生活が安定している
  3. 遺産が少ない
  4. 遺産を分散させたくない
  5. 債務超過のため
  6. その他

実際のところ、選んだ理由によって審査結果が大きく変わることはないようです。裁判所が公開する司法統計(2020年度)によると、既済事件の総数 23万3,325件に対し、却下件数は426件でした。

却下率は0.18%と低く、ことがわかります。

参考:家事令和2年度 3 家事審判事件の受理・既済・未済手続別事件別件数 全家庭裁判所|裁判所 - Courts in Japan

相続財産の概略

「相続財産の概略」の欄には、「被相続人の全財産」を記載します。相続財産には、預貯金や不動産などのプラスの財産と、債務や借金などのマイナスの財産があります。自分が引き継ぐ予定の財産だけでなく、全財産を記載しましょう。

詳細がわからないときは、現時点で把握しているものだけで構いません。遺産の調査前で見当がつかない場合は、空欄で提出しても問題はないでしょう。空欄で提出したからといって、家庭裁判所に調査や再提出を求められることはないようです。

被相続人の住民票の除票とは

相続放棄の必要書類とは。親子間のケースを例に解説
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

相続放棄の必要書類の一つに「被相続人の住民票の除票」があります。「除票」という言葉を初めて耳にする人もいるのではないでしょうか? 住民票の除票の取得方法や注意点を解説します。

住民登録が抹消された住民票

親族や同居人が死亡した場合、役所(市役所・区役所・町役場など)に死亡届を提出するのがルールです。死亡届を提出すると、自動的に住民登録の抹消が行われます。

「住民票の除票(写し)」とは、転出や死亡などで住民登録が抹消された住民票のことで、相続放棄の手続きでは「被相続人が死亡したこと」や「住民登録をしていたこと」などを証明するために提出します。

自治体によっても異なりますが、住所地で死亡届が受理された場合は、約1週間で取得が可能となるでしょう。届け出の処理状況によっては、すぐに取得できるケースもあります。

最後の住所地を管轄する役所で取得

被相続人の住民票の除票は、「被相続人が最後に住んでいた住所地」を管轄する役所に請求をします。

請求ができるのは、被相続人と利害関係がある人で、かつ自己の権利行使や義務履行のために住民票の除票が必要な人に限られる点に注意しましょう。請求に当たり、以下のような書類が必要です。

  • 住民票の写しの申請書
  • 被相続人と取得者の関係性が証明できるもの
  • 請求者の本人確認書類

請求方法は「窓口」または「郵送」の2パターンがあります。「住民票の写しの申請書」は窓口のほか、各自治体のウェブサイトからもダウンロードが可能です。郵送請求の詳細については、窓口に問い合わせましょう。

他の相続人がすでに提出していれば省略可能

自分以外にも相続放棄をする人が存在し、住民票の除票がすでに家庭裁判所に提出されている場合には、重複して取得・提出する必要はありません。

例えば、兄と妹の両方が相続放棄をする場合、兄が先に住民票の除票を提出していれば、妹は提出が不要です。

住民票の除票の取得には、1通300円の手数料がかかります。親族内に相続放棄をする人が複数人いる場合は、前もって相談しておくと、準備にかかる手間やコストを省けるでしょう。