相続放棄する場合、相続放棄申述書と必要書類を家庭裁判所に提出しなければなりません。必要書類には、住民票の除票や戸籍謄本などがあり、準備するまでには時間や手間がかかります。相続放棄の流れや必要書類の取得方法を確認しましょう。

目次
相続放棄で必要となる書類
 ・必要書類一覧
 ・相続放棄の条件や期限を確認して手続きを
相続放棄申述書とは
 ・裁判所に相続放棄を認めてもらうための書類
 ・収入印紙を貼り、予納郵券を添える

相続放棄で必要となる書類

相続放棄の必要書類とは。親子間のケースを例に解説
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

相続放棄とは相続を自ら放棄し、被相続人(亡くなった人)の一切の財産を引き継がないことです。相続放棄は、家庭裁判所に相続放棄申述書と必要書類を提出して初めて認められるもので、親族に「遺産は要らない」と述べるだけでは不十分です。

必要書類一覧

相続放棄する際は、家庭裁判所に対して「相続放棄の申述」を行います。申述者(放棄する人)は、申述期限までに必要書類を準備し、「被相続人の最後の住所地の家庭裁判所」に提出をしなければなりません。

  • 相続放棄申述書
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 申述人の戸籍謄本
  • 被相続人の死亡について記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本

相続放棄に共同相続人の同意は必要なく、通知の義務もありません。ただし、相続第1順位である子が放棄をした場合、第2順位の直系尊属(父母・祖父母)や第3順位の兄弟姉妹が相続権を持つことになるため、放棄した旨をすべての相続人に知らせましょう。電話よりも書面で通知するのが望ましいといえます。

相続放棄の条件や期限を確認して手続きを

相続放棄の申述は、「自分に相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内」に行うのが原則です。この期間は「熟慮期間」とよばれます。

例えば、被相続人が6月1日に亡くなり、同時に自分が相続人であることを知った場合、3カ月後の9月1日(午前0時)が熟慮期間の期限です。

被相続人とほとんど交流がなく、死亡の半年後に相続を知ったケースでは、そこから3カ月以内に手続きを済ませれば相続放棄は可能です。期限が過ぎると申述書は受理されないため、相続放棄の意思が固まった時点で速やかに手続きを進めましょう。

以下のようなケースでは、単純承認(すべての財産を無条件に引き継ぐ)が成立するため、相続放棄は認められません。

  • 財産の一部または全部を処分した場合
  • 財産に手をつけた場合
  • 財産を隠蔽した場合

相続放棄申述書とは

相続放棄の必要書類とは。親子間のケースを例に解説
(画像=『RENOSYマガジン』より引用)

手続きで最も重要な書類といえるのが、「相続放棄申述書」です。必要書類がそろっても、本人(相続放棄したい人)の申述書がなければ相続の放棄は認められません。相続放棄申述書は、どこでどのように入手すればよいのでしょうか?

裁判所に相続放棄を認めてもらうための書類

です。申述人(相続放棄したい人)と被相続人の情報や申述の趣旨などを明記したうえで記名(署名)・押印し、その他の必要書類と一緒に提出します。

提出後は家庭裁判所で審査が行われ、「放棄に問題がない」とされた場合に相続放棄が成立します。申述書や必要書類に不備や誤りがあると、訂正や追加提出を求められるため、時間に余裕を持って作成しましょう。

相続放棄申述書は家庭裁判所の窓口で入手できますが、裁判所のウェブサイトからダウンロードも可能です。

収入印紙を貼り、予納郵券を添える

申述書には「収入印紙(申述人1人につき800円分)」を貼付し、「予納郵券(郵便切手)」を添付します。

収入印紙とは、税金や各種手数料を徴収する目的で国が発行している証票です。郵便局やコンビニで800円分の収入印紙を購入後、申述書の貼り付け欄に貼付します。

予納郵券とは、家庭裁判所との連絡用に使用される郵便切手のことで、「相続放棄申述受理通知書」や「照会書(回答書)」を郵送するために使用されます。金額の詳細は申述先の家庭裁判所に確認しましょう。

予納郵券の送り方に決まりはありませんが、小さな袋に入れたうえで、申述書の上部にクリップで留めておくと紛失が防げます。使用されなかった切手は、相続放棄申述受理通知書と一緒に返却されるのが通常です。