店舗型ビジネスを展開している事業者は、消費者の環境変化や社会的な流行に強い影響を受けやすい特徴がある。昨今、物価高やコロナ禍において、多くの企業が苦戦を強いられている。多数の店舗展開をしている大手企業の近年の動向を見ていこう。

店舗数の落ち込みが続くミスタードーナツ

ミスタードーナツはアメリカ発祥のドーナツチェーンで、日本においては清掃事業や外食事業を展開しているダスキンが運営会社となっている。日本で第1号店が開店したのは1971年で、その後急速に店舗数を増やしていった。

しかし、最近は店舗数が減少している。過去5年間の店舗数の推移は以下のとおり。平均すると、毎年約50店舗ずつ減っている状況だ。

<ミスタードーナツの店舗数の推移>
2017年3月期 2018年3月期 2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期
1,160店舗 1,086店舗 1,007店舗 977店舗 961店舗
※出典:ダスキン公式サイト

不二家、店舗数が「大量減」から「大量増」へ!なぜ?

洋菓子製造大手の不二家は、2020年3月末にかけて店舗の減少が続いていた。しかし2020年6月末からは一転し店舗が増え始め2021年12月末時点では1,000店舗に迫る勢いとなっている。

店舗の閉店が続いていた中、不二家はなぜ増加に転じたのだろうか。しかも増加に転じたのは2020年6月でコロナ禍以降である。

その理由は、新たな販路を求めて「納品店」を増やしており納品店を店舗数にカウントしているからだ。納品店について不二家は「食品スーパーなどに製品を納入して販売は納入先が行う店舗」と説明している。

その後も店舗数は、増加傾向が継続。新たな販路を拡大したことで2021年の通期における洋菓子の売上高は、前年同期比で7.4%増を記録している。

老舗アパレル企業ワールドに破綻の危機?

新型コロナウイルスの影響で、老舗アパレル大手の苦境が続いているようだ。「タケオキクチ」などを擁するワールドは、ブランドクローズや店舗閉店などの構造改革を迫られている。

ワールドの2020年3月期(2019年4月~2020年3月)決算は、売上収益が前期比5.4%減の2,362億6,500万円、営業利益は同16.9%減の123億1,400万円と厳しい結果になった。

同社は要因について、2019年10月の消費税増税による消費抑制傾向や自然災害による店舗休業、記録的な暖冬による冬物重衣料の低調に加え、2020年2月後半以降の新型コロナウイルスの感染拡大の影響が追い討ちをかけたとしている。

2021年3月期の連結業績予想については、売上収益が15.8%減の1,990億円、営業利益は71億9,000万円のマイナスと、厳しい数字をはじき出した。緊急事態宣言のもと、4月末時点で2,227店舗が臨時休業しており、本格化するコロナウイルスの影響を考慮した結果だ。

2021年2月発表の2021年3月期第3四半期(2020年4〜12月)決算では、売上収益が前年同期比27.2%減の1,328億4,800万円、営業収益は96億7,000万円の赤字となっている。

セグメント別では、コロナ禍が直撃したブランド事業の売上収益が前年同期比29.8%減の1,187億700万円、Eコマースの運営受託などを手掛けるデジタル事業の売上収益が同5.9%増の196億5,900万円、生産や販売ノウハウを活用したプラットフォーム事業の売上収益は同18.3%減の670億6,700万円となっている。

各企業の背景を深掘りしよう

飲食や消費財を売る店舗は、消費者との距離も近いため、より顧客ファーストな戦略が求められるだろう。各企業は、様々な戦略で生き残りをかけ善戦している。数字に裏付けられたそれぞれの社内事情を深掘りし、近い未来どのような成長を遂げていくのか、これからも注目していきたい。

文・MONEY TIMES編集部

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