オークションサイトなどで当初販売価格の数倍の価格で取引される商品がある。対象はライブチケットや人気の高いゲームなどで、中には「転売ヤー」と呼ばれる人たちが、大量に購入して高値で売りさばく事例もある。何が何でも手に入れたいファン心理を悪用する、こうした販売は違法ではないのだろうか。
基本は合法だが、免許や許可がないと違法の場合も
法律事務所の公式サイトなどを参考に調べると、購入した商品を高く売る「転売」の行為は、基本的には「合法」といえる。ここで「基本的には」と付け加えたのは、例外もあるからだ。例えば、古物商許可がないまま転売で利益を得続ければ古物営業法違反になるし、利益を正しく申告していなければ、各種税法によって罰せられることになる。
商品にとって違法になるケースもある。チケットは2019年施行の「チケット不正転売禁止法」により、定価を上回る価格で再販売することが禁じられている。偽物のコピー商品の転売を繰り返した場合は、仮にそれを偽物と知らなくても罪に問われることがある。
酒類を販売するには「酒類小売業免許」が必要であり、それは転売も同じ。免許を持たずに転売すれば罰せられることがある。まとめると、古物商の許可を持たずに頻繁に転売して「利益を獲得し続ける」状況は違法になるし、小売店として販売する際に免許がいる商品を転売する場合は免許を持たないと罰せられる可能性があることだ。
「転売」+「バイヤー」
そもそも「転売ヤー」という単語は、どういった語源なのだろう。直接的には「転売屋」の語感から来ており、また「転売」という単語に、買い手を示す英語「buyer(バイヤー)」を組み合わせた造語となる。
転売を仕事としている人の中には、高値で売れそうなものを買い占める際、ホームレスや外国人などに安い賃金を支払って行列に並ばせるなどの方法をとっている人もいる。こうした行為に道義的な非難が高まり、転売ヤーの言葉には、転売行為に手を染める人を軽蔑するニュアンスも込められている。
悪質な行為に対しては徐々に法的な規制が
自由な市場という意味では、需要が存在するならば高値で売る人も買う人もいても良いはず。
ただ、転売行為自体は何ら付加価値を生まない。例えば、ライブならアーティストや主催企業の利益につながらないばかりか、適正な価格付けを阻害する可能性がある。一種の迷惑行為でもあり、悪質なものに対しては徐々に法的な規制が強まっている。
文・MONEY TIMES編集部
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