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相続放棄申述書を提出前に確認しよう
相続放棄申述書が受理されない可能性はある?
相続放棄申述書を提出前に確認しよう
相続放棄申述書を提出する前に「選択に後悔はないか」「手続きに必要な書類の不備はないか」を確認しましょう。
書類の不備や誤りがあると、家庭裁判所から追加提出や訂正の連絡が入る場合があります。期限内に滞りなく手続きを完了させるためにも、最終チェックは念入りに行いましょう。
本当に相続放棄の選択でよいか
相続放棄申述書が受理されると、最初から相続人ではなかったことになります。撤回はできず、「詐欺や脅迫により相続を放棄した」などの特別な理由がない限り、取り消しもできません。
負の財産を引き継ぎたくないという理由から相続放棄を選択する人が多いようですが、相続放棄をすべきかどうか迷っているのであれば、弁護士や司法書士への相談を検討しましょう。
相続財産の調査に着手できておらず、財産がどれだけあるかわからないケースでは、「相続放棄の期間の延長」が認められる場合があります。
「借金もあるが、それ以上にプラスの財産が多かった」という事例もあるため、調査をしっかり行ってから判断するのが望ましいでしょう。
添付書類、郵便切手はそろっているか
相続放棄の手続きでは、さまざまな書類を提出しなければなりません。添付書類は、被相続人との関係性によって異なります。例えば、被相続人の子にあたる人は、以下のような書類が必要です。
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 申述人の戸籍謄本
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍・改製原戸籍)謄本
提出時は、家庭裁判所との連絡用として使う「予納郵券(郵便切手)」を同封します。必要な金額・枚数は各家庭裁判所に確認しましょう。
収入印紙は貼られているか
相続放棄申述書を全て記入し、誤りや記入漏れがないか確認したら、最後に800円分の収入印紙を「収入印紙の貼付欄」に貼り付けましょう。
収入印紙とは、政府が各種手数料や税金を国民から徴収するために発行している証票です。切手のような形状で、表面には額面が印刷されています。
コンビニ・郵便局・法務局などで購入できますが、ほとんどのコンビニでは200円の印紙のみの取り扱いになるようです。200円の印紙を4枚購入しましょう。
郵便局では取り扱いのあるすべての額面が購入できます。ただし、800円の額面は存在しないため、400円の印紙を2枚購入します。
相続放棄申述書が受理されない可能性はある?
ごくまれではあるものの、相続放棄申述書が受理されないケースもあります。申述期間に提出が間に合わないのはもちろん、先に形見分けで財産に手を付けてしまったり、一部を処分してしまったりすると、単純承認が成立してしまう点に注意しましょう。
却下されるケースとは
最高裁判所が公表する統計によると、2020年における相続放棄の却下率は以下のようにわずか0.18%という結果でした。
- 既済事件の総数:23万3,325件
- 却下件数:426件
ほとんどのケースで問題なく受理されますが、却下の可能性があるのは以下のようなケースです。
- 相続放棄の申述が期限内に行われていない場合
- 単純承認とみなされる行為に該当する場合
- 相続人の意思で申述をしていない場合
「単純承認とみなされる行為」とは、相続財産の隠蔽や処分、大きな金額の形見分けなどが挙げられます。一度却下されると再申請はできないため、手続き上で不安な点があれば、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
参照:家事令和2年度 3 家事審判事件の受理・既済・未済手続別事件別件数 全家庭裁判所|裁判所 – Courts in Japan
書類に不備があった場合
申述書や添付書類に不備や誤りがあった場合、家庭裁判所から申述人に連絡が入ります。追加提出や内容の訂正を求められる可能性があるため、速やかに対処しましょう。
家庭裁判所の開庁は平日の日中のみなので、会社勤めをしている人は時間の都合がつきにくいかもしれません。訂正で何度も足を運ばなくても済むように、提出前に念入りなチェックを心掛けましょう。
「忙しくて手続きに割ける時間がない」という人は、相続放棄の申述を弁護士に委託することも可能です。費用はかかりますが、申述期間内に確実に手続きを完了できるため、安心感があるでしょう。